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MBA大学院でのレポート(4)

ロジックが正しく組めればブロック図になることを紹介した。また、正しく組めたロジックを文章化すれば、大事な3条件が成立することも紹介した。そこで、こお2つのポイントを、著者がMBA大学院で書いたレポートで確認をしていこうと思う。大学院などでレポートを書く際の参考になればと思う。これまでのような詳細な解説は載せない。以下の2点を確認しながら読んでほしい。

チェックポイント1
ロジックが正しく組めれば、ロジックは綺麗なブロック図になる。なぜなら、ブロックが思考単位、グロックをつなぐ線が縦横の関係を示すからだ。つまり、ブロック図を組めれば、論理性の分類と接続ができている証左なのだ。詳細は、詳細は、本マガジンの「ロジックを組むとは、ブロック図を作ること」(https://note.com/logicalskill/n/n55bbee52fc4a?magazine_key=mf8caf790fa2e)を参考にしてほしい。

チェックポイント2
正しく組めたロジックを、パラグラフで文章化すれば、以下の3条件が成立する。詳細は、本マガジンの「正しく書けた文章の3条件」(https://note.com/logicalskill/n/nf76e989e5b76?magazine_key=mf8caf790fa2e)を参考にしてほしい。1.Topic sentence だけで文章が成立する2.Topic sentence だけでパラグラフ間の縦横関係が読み取れる3.Topic sentence だけでそのパラグラフに何が書いてあるかは予想できる

このレポートは、「日本企業のイノベーション戦略上の課題と今後の展望」というテーマである。文章量は全部で、A4用紙6枚、6,000字を越える。一気に掲載すると、とても読んでいられないので、章ごとに日を分けて紹介する。執筆は、2018年なので、情報が若干古いことはご勘弁願いたい。コメント(太字)は最小限にとどめた。


4.イノベーション戦略の課題

インテグラル型&モジュラー型融合ビジネスでは、コア技術の選択と、提携先との情報の粘着性が課題となる。また、技術者の報酬改善では、世界標準の相場設定と、他の社員との公平性が課題となる。

  • 4章の総論である。先に述べた「インテグラル型&モジュラー型融合ビジネス」と「技術者の報酬改善」に対して、2つずつ課題を挙げている。

4.1. インテグラル型&モジュラー型融合ビジネスの課題

インテグラル型&モジュラー型融合ビジネスでは、コア技術部分とモジュール化部分の選択が課題となる。つまり、何を自社で蓄積すべきコア技術とし、何を提携先と協働したコア技術とし、何をアウトソーシングした標準モジュール部分とするかである。たとえば、自動車の電気化が進めば、自動車産業は、このインテグラル型&モジュラー型融合ビジネスになる。自動車主要部品のうち、電池は確実にモジュール化されるだろう。では、何を自社のコア技術とし、何を提携先と協同した技術とすべきか。モーターか、自動運転技術か、安全性か、居住性か、それとも移動手段としてのプラットフォームか。経営資源をこのコア技術に集中するだけに、この選択がビジネスの成否を握る。

  • 4章に総論を置いたので、4.1節には総論を置かなかった。小さな階層で、構成がシンプルなら、総論を置く必要を感じないときもある。

また、提携先とコア技術を協働する場合、情報の粘着性が課題になる。つまり、自社と提携先とでの相互理解である。提携によってイノベーションを起こそうとしているのであるから、自社と提携先とで得意技術を持ち寄ることになる。しかし、相互で相手の技術が理解できない。理解のためには、複数の異なる分野の専門家の知識が必要であり、それゆえに企業内、企業間の密接な連携が必要不可欠ということである*。

*:「イノベーション戦略入門」 玄場公規 2018 amazon


4.2. 技術者の報酬改善と公平性の維持

まず、技術者の報酬をどこまで引き上げるかが課題となる。最低限、技術者が海外に流出するのを防げるレベルではなければならない。また、海外からでも人材が呼べる水準でなければならない。さらに、そのレベルを維持できるように、上げ続けなければならない。キー技術の技術者なら、年収2,000万円以上は必要だろう。新卒であっても、キー技術関連を担える人材なら、800万円以上は必要だろう。

また、キー技術の技術者の報酬を引き上げた場合、他の社員との整合も課題だ。同じ技術者でも、キー技術の技術者と一般的な技術者で、同じ報酬にしたのでは、無駄なコストが企業の競争力を落としかねない。また、技術者以外の社員との報酬格差も問題になろう。しかし、日本企業はメンバーシップ型の雇用なので、技術者候補として入社しても、キー技術に携われるかは、企業の人事次第だ。人事の気まぐれで、報酬に大きな差を設けられては社員としては不満が出る。

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