【論理的思考】思考力を身につけるには、考える習慣を持つこと
論理的思考力は、本を読んでも身につかない。身につけるには、考える習慣が必要だ。習慣が変われば、行動や思考が変わる。
本を読んで手に入るのは知識であってスキルではない。たとえば、論理的思考の本を読めば、MECEやフレームワークという概念を理解できるだろう。ディベートの本を読めば、論証という概念も理解できるだろう。しかし、実際のビジネス現場で、MECEやフレームワーク、論証の概念が使えるようになるわけではない。水泳の本を読んで泳ぎ方を理解できたからといって、泳げるわけではない。知識はスキルではない。
論理的思考スキルは、知識を習慣的に使って身に付く。どれだけ普段から論理的に思考する習慣があるかで、スキルの習得は決まる。同様のことを、沼上幹氏(一橋大学大学院商学研究科教授)は以下のように述べている。
論理的思考の知識を習慣的に使っていれば、いろいろな行動変容が起きる。
● 並列した分析はMECEにならないか考える
● 根拠のない主張には、「なぜ?」と反応する
● 根拠のある主張に対しては、その根拠で主張が支えられるかを考える
● 知識人の主張や当たり前と思われていることでも疑ってかかる
たとえば、MBA大学院で「成功者の講演を聴くことに意味はあるのか」と考える。成功者の講演は、MBA大学院で当たり前のように行われる。この手の授業に誰も異論を挟まない。しかし、何の意味があるのだろう?
● 同じことをやっても二番煎じだから成功しない
● 抽象的な心構えなら、ビジネス書に書いてある
● その成功者が成功したのは偶然かもしれない
● 成功者の言う成功要因は、正しく分析できていないかもしれない
● 同じことをやって失敗した人が多数いるかもしれない(失敗者はマーケットから消えるので話は聞けない)
上記の例は、論理的思考を習慣化すれば、より深く考えるようになる例である。けっして、「成功者の講演を聴くことに意味がない」と言っているのではない。上記のように考えれば、成功者の講演を聴く姿勢も変わる。講演者の間違った分析部分を捨てて、正しい分析だけを吸収できる。あるいは、隠れた成功要因を見つけ出すこともあろう。ボーっと考えずに聴いているものとは大きな差が出るのだ。習慣化すれば、より深く考えるようになる
論理的思考力を身につけるには、考える習慣をもつことだ。習慣が変われば、行動や思考が変わる。
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