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【論理的思考】思考力を身につけるには、考える習慣を持つこと

論理的思考力は、本を読んでも身につかない。身につけるには、考える習慣が必要だ。習慣が変われば、行動や思考が変わる。

本を読んで手に入るのは知識であってスキルではない。たとえば、論理的思考の本を読めば、MECEやフレームワークという概念を理解できるだろう。ディベートの本を読めば、論証という概念も理解できるだろう。しかし、実際のビジネス現場で、MECEやフレームワーク、論証の概念が使えるようになるわけではない。水泳の本を読んで泳ぎ方を理解できたからといって、泳げるわけではない。知識はスキルではない。

論理的思考スキルは、知識を習慣的に使って身に付く。どれだけ普段から論理的に思考する習慣があるかで、スキルの習得は決まる。同様のことを、沼上幹氏(一橋大学大学院商学研究科教授)は以下のように述べている。

 しかしそれでも確実に言えそうなことはある。それは、モノを考える時間を長く取ってきた人が知的に成長するという当たり前のことである。たとえば入社15~20年くらいとすると、それまでの思考時間次第で戦略の議論ができるミドルとそうでないミドルに分かれてくる。なかなか見えない未来を見ようと努力し、「アリ筋」のシナリオを描こうと努力した時間の長さ、難しいことを考えようとした時間の累積、これらが決定的な差をつくり出していくのである。
 それでは累積思考時間は何によって決まるのか。人間はモノを読み、書き、討議することで思考する。読むだけという受動的な吸収ばかりではダメで、つねに書いたり、発表・討議するという積極的な作業が必要である。だから、このような作業を単発でやったことがある、というのではなく、日常的なクセとして身につけているという人が知的に成長していく確率が高い。

「プレジデント」2001年7月2日号、ビジネススクール流知的武装講座「経営戦略論の欠陥を補う人」を育てる要諦 から部分引用 著者:一橋大学大学院商学研究科教授 沼上幹

論理的思考の知識を習慣的に使っていれば、いろいろな行動変容が起きる。
● 並列した分析はMECEにならないか考える
● 根拠のない主張には、「なぜ?」と反応する
● 根拠のある主張に対しては、その根拠で主張が支えられるかを考える
● 知識人の主張や当たり前と思われていることでも疑ってかかる

たとえば、MBA大学院で「成功者の講演を聴くことに意味はあるのか」と考える。成功者の講演は、MBA大学院で当たり前のように行われる。この手の授業に誰も異論を挟まない。しかし、何の意味があるのだろう?
● 同じことをやっても二番煎じだから成功しない
● 抽象的な心構えなら、ビジネス書に書いてある
● その成功者が成功したのは偶然かもしれない
● 成功者の言う成功要因は、正しく分析できていないかもしれない
● 同じことをやって失敗した人が多数いるかもしれない(失敗者はマーケットから消えるので話は聞けない)

上記の例は、論理的思考を習慣化すれば、より深く考えるようになる例である。けっして、「成功者の講演を聴くことに意味がない」と言っているのではない。上記のように考えれば、成功者の講演を聴く姿勢も変わる。講演者の間違った分析部分を捨てて、正しい分析だけを吸収できる。あるいは、隠れた成功要因を見つけ出すこともあろう。ボーっと考えずに聴いているものとは大きな差が出るのだ。習慣化すれば、より深く考えるようになる

論理的思考力を身につけるには、考える習慣をもつことだ。習慣が変われば、行動や思考が変わる。

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