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【論理的思考】MECEは、ロジカルシンキングのごく一部に過ぎない

ロジカルシンキングの肝のように扱われているMECEは、「論理的」要件である分類、接続、論証のうち、接続(縦横)の横に過ぎない。したがって、MECEで論理的になるのは、ごく一部でしかない。

著者は、ビジネス文章における「論理的」を、以下の3つの条件を満たす状態と定義している。詳細は、本マガジンの「論理的とは」(https://note.com/logicalskill/n/nb07746386b92)を参照してほしい。
1.思考単位が明確に分類できている
2.思考単位が縦横に明示的に接続できている
3.思考単位が根拠を持って論証できている

一方で、MECEとはMutually Exclusive and Collectively Exhaustive(互いに重複せず、全体として漏れがない)状態のことである。日本語でも短縮して、「モレなくダブりなく」と言われる。「モレなくダブりなく」の状態で思考すると論理的に思考しやすい。ロジカンルシンキングでは、定番の思考法だ。たとえば、上中下や質と量、5W1Hなどが簡単なMECEの組合せと言える。詳細は、本マガジンの「正しく並列する(ロジカルシンキングへ)」(https://note.com/logicalskill/n/n05f7d1c02916)を参照してほしい。

つまり、MECEは、「論理的」である3要件(分類、接続、論証)の「接続」、それも「縦横」の「横」に過ぎない。「論理的」である状態の一部に過ぎないのである。MECEは、ロジック単位を縦につなげたり、ロジック単位を論証したりするときには使えない。仮に、ロジック単位を横に並べる場合でも、いつでもMECEが使えるとは限らない。MECEは、「論理的」な状態のごく一部でしかないのだ。

したがって、ビジネスの現場で、MECEで思考すべき状況がそう多いわけではない。実際、プレゼンテーション講座において、受講者が実演するプレゼンテーションで、MECEが問題になることはほぼない。あまりに頻度が低いために、MECEの指導をやめてしまったことがあるぐらいだ。ビジネスの現場では、トラブル解析(問題-原因ー対策ー効果)のような縦につながったロジックが多い。MECEで網羅的に分析することは、むしろ少数派だ。だから、MECEはあまり使われない。

MECEは、「論理的」である状態のごく一部に過ぎない。したがって、ビジネスの現場で、MECEが使える場面はごく限られている。

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