【オフィス編】実体験を通して考える物流ペーパーレスという難局
日夜頭を悩ませるタイトルに打ち込んだだけで少し頭を痛めておりますが現実を直視するべく整理を兼ねて書いてみる所存です。(特にペーパーロジスティクス業界の方々への配慮は出来ておりませんので不快に思う方、その点はご留意ください)
倉庫・ドライバー等ロケーション毎にペーパーレスの難しさは異なりますがまずは一番敷居が低いであろうオフィス内での難しさに着眼していきたいと思います。
大前提として物流企業の事務方のITリテラシーはそう高くありません。それはなぜかというと「FAX」「紙帳票」に依存して生きてきた業界風土に他ならないと感じています。
【なぜFAXがここまで使われるのか】
FAXと言えば別業種の方に話を聞くと
・そもそも業務でFAXを送ったことがない
・証跡が残らないからツールとして不十分
・リモートの進んでいるコロナ禍において顧客にFAXを容認されるイメージが沸かない(脱ハンコと同じくそもそも人がいないオフィスに文書を送っても。。)
等々酷評の嵐を食らいますが弊社でお付き合いをしている少なくとも数十社の関連企業はコロナ禍においてもこのツールを使用しています。
現場を止められない物流企業では納得なのですが、かたや荷主様もなぜこのツールを選ぶのか
それは物流企業=ITツールの利用頻度が低いと認識されていることに他ならないと思います。
(私は以前社内の反対を押し切り荷主様にFAX廃止を打診しましたが物流関連企業すべてFAXで統一しているので寧ろ面倒くさいと断られ赤面を余儀なくされた過去があります)
また、普段FAXは愚かメールすらコラボレーションツールに代替して久しい中でこのツール特有の非効率は言わずもがなです。
詳細に非効率な点を列挙すると枚挙に暇がありませんが
・自席を立たなければならない
・返信が来た際、誰宛かがわからない場合がある。紙を届けにいくという作業が発生する
・エビデンスとして使用することが難しい
・機器によっては届いたかどうかさえ、確かでない
・テレワークへの障害となり得る(クラウドストレージにPDF連携などすれば可能ではありますが。。)
等々が主な点です。
※e-faxなどは除き、あくまで複合機での環境を想定した羅列にはなりますが。
ではなぜこのツールを使用するのかというとあくまで体験ベースにはなりますが
・過去の実績以外に発展を望まない
・現場に重きを置き過ぎている為、改善をする気がない
・他社も同様のツールで何とかなってしまっている
上記のような点に起因していると思います。
【紙文化は今後も続くのか?】
では未来永劫ペーパーレスによる最適化がなされないのかというとそうでも無いように感じています。やはり日本人特有の
「皆やっている」
という感覚。この点が本丸だと感じています。
大手物流企業は軒並みDXの嵐
データでのやり取りによる分析・効率化・最適化を推し進めている真っ只中。彼らとやり取りを続けたいのであれば中小零細企業も業務改善を図らなければ今後は締め出されてしまうように思うのです。
※なぜなら彼らはデータ授受による業務内容に今後もFAXの企業を加えていくことはナンセンスだと考えているでしょうから。
わざわざ手書きのFAX帳票に対してAI/OCRを搭載し、業務に1エッセンスを。。
なんてことは好手だと考えられません。
これはいよいよ急務で自助努力が必要です。
世の中の流れとして
・ホワイト物流運動
・SDGs
・物流テックの浸透
などペーパーレスを推進する動機付けは今後も勢いを増して来ます。
ここに
「今までのこだわり」
による勝ち筋など必要はなく、未来を見据えて日々行動をしていくほかありません。
また幸か不幸かコロナ禍においてDXが加速するかと思いきや、またも何とかなってしまっているこの現状。
改善をしなければBCPなど描けるはずもありません。
繰り返しますがこれは早急に意識改革が必要です。
サプライチェーンが今まで如何に疎かになっていたか個別最適の賜物であったかは言わずもがなですがやっとその土壌が整ってきた中、世の大半を締める中小零細物流企業にも試練の時がやってきました。
この難局を乗り越えていかなければ良い意味での差別化が出来ません。
私はそれをずっと危惧してきました。
ナメられるのが嫌だ
これはプライドを持って仕事をしていく上で大変重要な要素ですがこのように世間と乖離の多い業務基盤というのは大きくナメられる要因となってしまっています。ただその点には気づきにくく、いつの間にかお客様が離れてしまっているのが実情です。配送マッチングなどが隆盛を極めるのは荷主様の配送業務が自分たちの運用方法に即している面も多分にあるのではないでしょうか。
【まとめ】
私がいつも不思議なのは何故普段LINEなどのコミュニケーションツールは使えて業務となるとなぜメールすら使わないのか。ここに隔たりは無い方がいい。
品質として誇りを持つのならある程度世の中・荷主に合わせる努力。これは確実に必要だと感じています。
高齢化が進むのは若者への過度なアンチテーゼ(過度な若者批判・現状維持層や背中を見て学べ論)なのではないだろうか。
批判一辺倒でなく改善への希望を持って言及していきたい。そう考えています。
業務によっては向き/不向きはあるかと思いますし勿論、紙やアナログ業務全てを否定する訳ではありません。却って効率が下がってしまうような業務は引き続き紙でやっても良いかと思います。
※慣れの問題が多く潜んでいるとは思いますが・・
あくまでツールという「手段」ではなく、どうしたいか・今後どうなっていきたいかを論じていきたい所存です。
とはいえ裏を返せばFAX・紙文化でこのクオリティ。日本の物流の伸びしろは計り知れないと信じています。
一先ず、オフィス編はここまで。
次回は現場編に触れたいと思います。