【倉庫・配送現場編】実体験を通して考える物流ペーパーレスという難局
前回に引き続きペーパーレス問題の倉庫・配送現場編です。
前回定義出来ておりませんでしたが各ロケーションでの主要プレイヤーは
オフィス内:事務員さん
倉庫:フォークオペレーターさん・ピッカーさん
配送:ドライバーさん
を想定しています。
現場サイドは相互に関係している部分が大きく切り分けは敢えてせずにリンクさせながら考えていきたいと思います。
まず倉庫に存在するペーパーとして主に挙げられるのが
・入庫納品書
・出荷オーダー
・送り状/荷札
が主なところかと思います。
或いは会社によってはパレット・ネステナー・ラック等へ紙を貼り付け在庫等の管理を実施している会社もあるかもしれません。
※私が他倉庫へ納品の出入りをしていた時は倉庫の最前列へ紙の束を貼り付けているのをよく見かけました。WMS等が隆盛する前の話にはなりますので今はやっていない・・かとは思いますが。
入庫納品書
まず納品書についてです。
こちらを電子化するといった流れは接触機会を減らす為にコロナ禍で加速している側面もありますがまだまだ普及率は低いように思います。こちらを電子化するといった流れはコロナ化で加速している側面もありますがまだまだ普及率は低いように思います。
以下がソリューション事例です。
まずこのトピックの難しさは関連プレイヤーが多岐にわたる点であるように思っています。また内部・外部双方のプレイヤーの中にはITリテラシーが高い方ばかりではありません。
高齢化が長年叫ばれている物流業界では特に高いハードルとして聳え立っています。
中には高齢ドライバーも多く、想像しやすいのはおじいちゃんがある日突然いきなりスマホを渡され、操作手順もあまり説明を受けないままに運用が始まってしまうイメージです。
少しオーバーに感じる方もいらっしゃるかとは思いますが私も実際スマホアプリ(個人用含む)の説明に奔走する毎日です笑
今まで紙で受け渡しをしていた納品書がある日突然、業務用スマホの中に。便利だと感じるのはもしかしたら若年層に傾くのかもしれません。
またサイン文化というものもまだまだ取っ払えておらず、受領の印鑑・サインを貰わないと安心出来ないと感じている方もいらっしゃいます。
上記はどちらかといえばドライバーサイドの問題にはなりますが倉庫サイドでは納品を現物⇔紙チェックで実施している会社にハードルがあります。
ハンディ・RFIDやAIカメラ等テクノロジーを起点として運用が出来ている会社にとってはメリットも多々ありますが納品書は紙で受け取り、基幹システムへ打ち込みのような運用をしている会社にとってはシステム基盤を更改することが前提となってくる場合も多いです。
出庫オーダー
こちらは倉庫オペレーター・ピッカーが主にはなりますがまだまだ紙オーダーを使用している会社も多々あると聞きます。
※進んでいる会社はタブレットへのアプリ導入を越え、音声/ウェアラブルデバイスなどを使用していますがこと中小物流に至っては氷山の一角でしょう。
紙オーダーについては以下のような運用が一般的かと思います。
①荷主から紙ベースでのオーダーがオフィスへFAXで流れてくる(もしくはメール添付オーダーを印刷。CSVファイルでの一括基幹取込からの出力など)
②オーダーを元に出庫オーダーを作成。倉庫オペレーターへ手渡し
③倉庫オペレーターにより、ピッキングされ出荷場所へ。
④別途出力された送り状と合せてドライバー様へ引き渡し。(もしくは自社ドライバーによる積み込み)
この点について考えられるリスク・不具合については
・紙オーダーの紛失
・事務所からの定期的な紙オーダーの持ち込み・受け渡しによるロス
・作業進捗が見えづらい
などなど電子化するだけで解決出来そうなメリットは沢山考えられます。
一方タブレットやハンディは
・紛失/故障
・手に持ちながらの作業が困難
・ツーマンでの運用が理想だが人員が足りない
等、ハンズフリーでの運用へ一足飛びをしたいものですが中々そこまで先進的なデバイスを扱える人員も少ない等課題は山積です。
送り状・荷札
最近ECではサイン不要や電子サイン(スマホ上での指サイン)が多く見られるようになってきましたがことtoBに至ってはまだまだ紙の送り状の持ち込みが主流です。
この紙の送り状についても
・紛失
・送り状の取り間違いを起こすと現地で受け渡しが出来ない
・汚れや濡れによる送り状自体の印字不良
などなど紙での運用にも不具合が多々あります。
また近年ではドットプリンタの保守を取りやめてしまうメーカーさんも出てきています。壊れた際の保守も昔より難しくなっているのではないかと思われます。
ドライバーさんの各スマホへ送り状を飛ばし、そのまま持ち込みが出来ればもっと最適化出来る・・と思うも会社携帯の配布等にコストが割けない/ドライバーが高齢で扱いきれない等問題がつきものです。
先般の弊社の事例ですと某大手路線会社さんですらEDIやメールでのやり取りすら断られる背景がつい最近まであったりします。
※その際、理由として言われたのは共有PCしか会社にない・メールが扱えない人がいる・EDIプラットフォームが社内で浸透していないとの理由で軽く愕然としました。。
まとめ
本当のサプライチェーンを築く為には各社データ授受の入り口となるシステム基盤が必ず必要になると思うのですが三者三様にアナログな仕組みが介在する為、全体最適が実現し辛いという背景があるように思います。
近年、先進的な物流テックベンチャーが続々、物流を変えようと参入してきていますが大手には受け入れられても中々普及も進まないのが実情のようです。
そこには多分に意識の問題が潜んでいるように思います。
システムやテクノロジーと聞くだけで拒否反応を起こしてしまう人が現場にも上層部にもいる。
こんな現状から変えていかなければいけない。
トップダウンで「えいやっ」とやってしまっても現場が使わない/使えない
では本末転倒
粘り強く理解を得ながらかれこれ2・30年唱えられている真の全体最適を目指していきたいものです。