物流現場へのノーコード(Glide)開発の衝撃
物流現場(今回は倉庫メインです)では未だに紙などのアナログツールが横行している為、課題感を感じていたとしてもテクノロジーを活かした最善策が打たれていない現状が散見されます。
今日は少し角度を変えて少し前から話題のノーコード物流現場活用について考えてみます。
ノーコードとはそもそも何なのか
まずはノーコードの定義です。
ノーコード開発プラットフォーム は、プログラマーやノンプログラマーが、従来のコンピュータ・プログラミングの代わりに、グラフィカル・ユーザー・インタフェースや設定を通してアプリケーション・ソフトウェアを作成することを可能にする。
引用:Wikipedia
既存のシステム/アプリ開発と何が違うの?
現場の課題は勿論多少の差異はありながらも以下のようなルートでシステム開発へ落とし込まれることが通例でした。
①現場へヒアリング・課題抽出
②社内外のシステム担当者が入念な打ち合わせ(要件定義)
③社外ベンダーによる設計・開発・テスト
④各フェーズですり合わせを実施
⑤納品
上記のような長いフローが敷かれ、プレイヤーを跨いだコミュニケーションにより開発は長期化。
また長期化した為に現場に納品された際には担当者は
えっこんなサービス欲しかったんだっけ
となるようなこともよく聞く話。
しかし掲題のノーコード開発においては現場責任者或いは担当者でも課題感をそのまますぐに表現することが可能です。
現状のプレイヤーとしては
【オススメ】
Glide
特徴:Googleスプレッドシートから簡単にWebアプリが作れ、テンプレートも多数あり。
URL:https://www.glideapps.com/
Adalo
特徴:ドラッグ&ドロップで作成出来、直感的に作成可能。
URL:https://www.adalo.com/
Bubble
特徴:自由度が高い為、少々ハードル高。
URL:https://bubble.io/
Appsheet
特徴:Googleが買収したGoogleCloudのサービス。
URL:https://www.appsheet.com/
などが有名ですが今回はGlideを使って、色々と検証をしてみました。
※尚、私は以下のYoutubeで勉強させて頂きました。
glideの開発イメージを実践を通してわかりやすく説明してくれている為、非常に参考になる動画です。
倉庫現場開発を経て感じたメリットと課題感
上記の前提を踏まえてノーコードに対して感じたメリット・課題感について記していきます。
メリット
・スプレッドシートから簡単にアプリ作成が可能
・OS問わず横串で開発ができる
・修正/追加も簡単。現場で試しながら毎日ブラッシュアップが出来る
・タクトを自分が振って開発することで現場作業時の視点が変わる
・既存アプリのかゆいところを先にテスト出来る
→ツールが散るのは面倒なので後から同様の機能を追加などでも良い
課題感
・ソースコードを書いているわけではないので自由度はそこまで高くない
・セキュリティレベルを合わせる為には少額であるが課金が必要
・現場へ持ち込む際にあくまで現場起点で動かないとハレーションですべてを使わなくなってしまう
・ノーコード開発ツールがある日突然終了してしまった場合、使えなくなってしまう為バックアップの必要がある
・セキュリティレベルでの多少の不安感
参考
https://bolt-dev.net/posts/2975
・あくまで社内用としての利用がメイン(社外へ提供・連携も可能なのかが未知数)
勿論、開発を一からやる方が良いのは承知で限界値を知った上でメリットを享受しパーツとして使っていくイメージの方が自然なのかなと思いました。また今後改善したい物流現場の課題例を以下に羅列してみました。
物流現場の課題例
・紙を削減するためにHT(ハンディターミナル)を導入したが多機能過ぎる・手が塞がる・デバイスの管理が大変等で現場が使わない
→皆が所有しているスマホで使うサービスであれば可能性あり
・オペレーターの把握内容とピッカーの把握内容に齟齬がある
→オペレーターが把握している荷物の行き先・送り状在り処等を把握しておらず都度都度の確認となっている
・出荷予定が連携されておらず前もっての作業が出来ない加減でうまく現場が回らない為、残業になっている
→事前の出荷予測を連携することで残業のない現場づくりが可能に
・API等の他サービス連携チャネルがまだまだ少ない。
→しかし自動化ツールで有名なZapierとは連携可能なようです
https://hikari-sedori.com/zapier-glide/
私が作成した(へっぽこ)アプリ
・アプリ名:出荷予定・事前出庫準備アプリ
・機能:出荷予定データ/明細を開示する
・具体的な作成フロー
①顧客より受領している出荷予定データ(CSV)をスプレッドシートへ貼り付け
②Glideへ読み込み
③UIを少しいじる(ソートや検索結果には必要な項目だけを表示)
④完成
⑤アプリを現場担当全員へ共有
⑥日々アップデート。アップデートタイミングは取り決めておく
他社事例(GlideでなくPlatioというサービスを使われています)
結び
結びとしてノーコードでの開発を経て以下のような流れで現場課題の本質を考えるきっかけになるかもしれないと感じました(一緒にノーコードの現場活用を考えてくださった方のエッセンスが多分に含まれた所謂パクリ結びにはなっていますw)
現場改善を実行するには要件の明確化がとても大事
→多少なりとも自由度が利かないアプリを作ろうとすると要件の絞り込みが自然に行える
→つまり、何をやっているか、何が大事かをより具体的に考えることができる
→ノーコードプログラミングは現場を助けるアプリを作るだけではなく、現場を考えるきっかけを与えてくれる
→現場課題に行き詰まった時は是非新しい視座としてノーコードプログラミングでアプリを作って要件を見極めてみて欲しい
→それがDXの入り口になる
以上が使ってみた感想です。
今後に期待が持てるノーコード開発。
既存のサービスとの使い分けでまだまだ発展しそうな気配がぷんぷん致します。