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#8 物流自動化がうまくいかない理由とは

自動化がうまくいかない…

最近、物流の自動化がうまくいかず、自動化をやめてしまったという話を聞き、私が経験したうまくいかない理由を書いていきたいと思います。
もし、当てはまる事があれば、再点検することをお勧めします。

意外と多い事例

自動化が「目的」となっている

自動化推進、ロボット化推進、DX推進等のBizワードをよく聞きます。わが社も自動化を推進しようという機運の中、KPI設定が自動化率になっていたりします。私から見るとKPI設定がすでに間違えていると感じますが、意外とこの目標設定している企業は、多いです。
つまり、自動化することが「目的」となってしまっているのです。

「予算」ありきの自動化になっている

設備投資に対して、予算があると思います。予算を与えられて自動化する場合は、そもそも予算が決まっているため、その物流センターに最適な自動化を選択していない、話題性のある自動化を導入する等といったことが起きます。つまり、予算を与えての自動化導入は、予算に対しての実績づくりとなるため、結局のところ、自動化することが目的になってしまうのです。

「要件定義」のない自動化導入

これは、上記2項目に付随することですが、大抵、この2項目の自動化案件は、要件定義ができていないケースです。ベンター資料からこれくらいの生産性だろう、在庫は、これくらい持ちたい等、要件定義としては、貧弱な内容だったり、そもそも、要件定義がない場合もあります。
自動化導入が「実績」であり、「目的」なので、重要な要件定義をおろそかにしてしまうことになるのです。

そこで起きることとは?

自動化後オペレーション変更や運用問題検討ができていない

物流のプロセスを変更した場合、大なり小なり今までと異なる問題が発生します。導入前にこうした検討ができている場合は、軽微な問題ですが、導入が「目的」や「実績」となってしまっている場合、十分な検討されていないケースがほとんどです。そして、現場サイドからは、使いにくいといった声が上がり、使われなくケースに発展していきます。

想定している運用能力が出ない

この例も意外に多いです。「予算」ありきで自動化ベンダーへ発注しているので、ベンダーもこういう条件であれば、運用能力が出せますといった回答があると思います。その運用条件がとてもタイトで条件の揃うことが難しいケースであったりします。この条件をきちんと精査できなかったために問題が発生します。結局、想定している運用能力が出ず、追加の人件費が掛かり、自動化がない方がよいとなり、使われなくケースに発展します。

自動化する上で必要なこと

自動化は、「目的」でなく、「手段」であること

あくまで、自動化は、「手段」の一つにすぎません。「目的」は、別のところにあります。その「目的」とは、「生産性向上」にあると思います。
この生産性向上は、現場をつぶさに見ることとデータを解析することによって、生産性向上のヒントが得られると考えます。
その上で、自動化を行った場合のメリット、デメリットを精査することが大事になってきます。精査が終わるころには、要求仕様の大枠が出来上がってくると思います。

「予算」は、与えられるものでなく、積み上げるもの

生産性向上の方法が見つかり、要求仕様の大枠が固まり、次にすることは、導入コストの試算です。掛かる費用と削減可能な費用を算出し、投資が有効かどうかを判断する材料揃えます。すでに予算枠が決まっている場合もありますが、その時は、予算に対して、収まっているのか、超過しているのかを判断すればよいと思います。そして、超過している場合、工夫をして、予算内に収める方法を模索し、それでもなお超過する場合、Heads upすればよいと考えます。(経営判断に委ねる)
ただし、ただ予算超過しましたという報告だけでは、意味がありません。きちんと合理的な理由を添えて判断を仰ぎましょう。

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