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我が家の節分に鬼が必要なくなった訳
息子が幼いころ、保育所では様々な季節の行事を行ってくれた。
秋は枯れ葉で焼いた焼き芋、12月には大イベントであるクリスマス会や、杵と臼を使った本格お餅つき。
日本の風物詩である季節の行事を子供の頃に体験するのは情操教育としてとても有効である。
そうして迎える2月。
節分だ。
節分といえばもちろん豆まき。
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保育所に突然鬼が現れて園児たちの身の危険を脅かし威嚇する。
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泣き叫び、走って逃げて扉の影に隠れたり部屋から脱出をはかって園庭の隅に逃げ込み震える子供たち。
泣き叫ぶ子供を追いかける鬼。
カオスである。
ジャーーン!
そこに現れる豆を手にした勇敢な先生が鬼と対峙する。
「鬼は外!福は内!」
大声で叫びながら豆を鬼に向かって投げる!
子供たちも物陰から大きな声で叫ぶ。
声だけの参戦だ。
「鬼は外!福は内!」
鬼は、こりゃたまらんとばかりに退散する。
先生は逞しくも園児を守り福の神が保育所に訪れるのでした。
めでたし、めでたし。
毎年、あの保育所には現れる鬼は、大人でもビビるくらい本気だ。
ちょっとコレはやり過ぎじゃん?ってくらいに怖い。
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赤鬼と青鬼がリアル過ぎて(実際にお会いしたことはない)笑えない。
豆まきの翌日、連絡帳は子供が夜泣きした、オネショしたなどとの被害報告が後を絶たない。トラウマものだ。
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実際、もう少しソフトな演出を願う保護者もいたと思う。
それでも保育所は毎年この鬼を招集しカオスな空間に興じる。
でも、そのおかげで我々親たちは、事あるごとに子供に向かい「約束を守らないと鬼が来るよ」などと、鬼の存在をチラつかせて素行を注意することが出来るのだ。
その点においては感謝である。
我が息子、年少の節分の日の朝。
せいぜいビビるが良い。
そんな思いで保育所に引き渡す。
念のために言っておくとこれは決して虐待ではない、情操教育だ。
クレームは遠慮する。
豆腐だから(もはやコレで通じるはず)
仕事を終えて保育所にお迎えに行った私を見つけた先生が走ってきて息子に聞かれないようにコソッと言った。
「おかーさん、息子くんすごかったです」
予想はしていた。
鬼にビビり散らかしてギャン泣きしたのだろう。もしかしたらお漏らしもしたかもしれない。パンツの洗濯物なら気にしない。
今日の夜泣きは覚悟しよう。
先生は続けて言った。
「鬼をまったく怖がることなく、一人だけその場から離れませんでした。それどころか豆を拾って鬼に立ち向かってました!」
え?
「泣かなかったのは息子君だけですよ!」
はぁ。
「息子君に鬼、怖くないの?って聞いたらこう言ってました」
キョトン顔の私を見ながらも、先生は続けて耳を疑うような衝撃的なことを言った。
あまりにも衝撃的すぎて、息子が大人になった今でも忘れない。
「うちのお母さんのほうが鬼なんかよりもっと怖いよ」
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我が家のカレンダーから節分が消えた
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