「逆流性食道炎の真実|胸やけの原因から治療まで解説」
初めまして、メディカフェのDr.ジョンと言います。
私は現役の消化器内科医で、日々の診療で胃カメラや大腸カメラ、外来診療を行っています。このnoteでは、患者さんとの対話から感じること、よくある誤解、医師と患者さんの間で生じるギャップなど、医療の現場でしか分からない情報を発信し、みなさんのお役に立てれば良いなと思っています。
今回は初回なのでどんな記事にしようかと考えましたが、逆流性食道炎について書いていこうと思います。患者さんを診察する中で、最も多い症状の一つが「胸やけ」です。実は、この症状の多くが「逆流性食道炎」によるものなのです。
【逆流性食道炎の基礎知識】
「胸やけがひどい」「食べ物が戻ってくる感じがする」―こんな症状でお悩みの方は少なくありません。
逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流することで起こる病気です。
正常な状態では、胃と食道の間にある下部食道括約筋(かつやくきん)という筋肉が、胃酸が逆流するのを防いでいます。これは、ちょうど蛇口の栓のような役割をしているんです。
しかし、この括約筋が緩んでしまうと、胃酸が食道に逆流し、粘膜を傷つけてしまいます。
主な症状として以下が挙げられます:
・胸やけ(胸のあたりが焼けるような感じ)
・胸の痛み
・むかつき
・げっぷが出やすい
・喉の違和感
・食べ物が戻ってくる感じ
特に食後や横になった時に症状が強くなるのが特徴的です。
【要注意!生活習慣との深い関係】
実は、この病気の多くは現代人の生活習慣と深い関係があります。
普段の診療でよく見かける原因をご紹介します:
食生活の乱れ
・早食い(ランチタイム15分で食事を済ませる会社員の方が多いですね)
・食べ過ぎ(特に夜の会食や付き合いが多い方)
・脂っこい食事
・就寝直前の夜食
生活習慣の問題
・肥満
・喫煙
・過度の飲酒
また、妊娠中の方や高齢者の方は発症しやすい傾向にあります。
【実践!自分でできる改善策】
逆流性食道炎は、適切な対策を行えば十分に改善が期待できる病気です。
私が患者さんによくお伝えしている改善策をご紹介します:
食事の工夫
・よく噛んでゆっくり食べる(最低でも20分かけましょう)
・腹八分目を心がける
・就寝3時間前までに食事を終える
・刺激物を控える(特に就寝前の辛い物、酸っぱい物は要注意)
生活習慣の見直し
・規則正しい生活を送る
・適度な運動を心がける(ただし食後すぐの運動は避けましょう)
・禁煙する (下部食道括約筋の力を低下させてしまうので)
・アルコールを控える
寝る時の工夫
・枕を高めにする(15cm程度が目安です)
・左側を下にして寝る(胃の形状から、右側を下にするよりも左側を下にする方が良いんです)
【医師の本音:検査と診断の裏側】
ここからは、普段の診療ではなかなかお話しできない、検査や診断の裏事情についてお話しします。
実は、健康診断で「逆流性食道炎」と言われて驚く方が多いんです。それまで症状がなかったのに、なぜ?と思われる方も多いでしょう。
実際の胃カメラ検査では、食道も胃も細かく観察できるため、ごく軽度の粘膜の変化も見つけることができます。ただし、この所見の捉え方は医師によって様々です。医師によっては症状がなく、ごく僅かな病変であれば所見としては記載しない人もいますし、逆にどんな小さな病変でも詳細に記載する人もいます。つまり少なからず検査を行う医師の主観も入るということです。
ここで大切なのは、疑問点があればその場で医師に質問することです。「これは治療が必要なレベルなのか」「生活習慣の改善だけで大丈夫か」など、具体的に聞いてみてください。
医師としては、患者さんからの質問があることで、より詳しい説明ができ、適切な治療方針を立てやすくなります。
本日はここまでにしておきますが、質問や解説してほしいことなどリクエスト、もっと詳しく説明してほしい等、ご要望がありましたらコメントをくださいね。それではまた!