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「モチモチの木」の主役は誰か
国語の物語文読解では「主役」の行動や心情を追うなどして作品を読み進めていくことが多い。
単元の初めに「登場人物」を確認し「主役」や「対役」などを確定していく。確定してからの授業の進め方は上記の通りである。
例えば小学校3年生の教科書教材に「モチモチの木」というのがある。多くの場合、主役は「豆太」と確定されることが多いが、果たしてそうだろうか。
この物語を「豆太」を中心に読むと、
まだ小さくて可愛い5歳の「豆太」は夜、一人ではトイレに行けない子どもだったが、お爺さんが腹痛で倒れたことをきっかけに、怖がることを忘れて医者を呼びにいくことができた。
といったようなあらすじが見えてくる。
しかし、「おじいさん」を中心に読むと、
まだ小さくて可愛い5歳の「豆太」は夜、一人ではトイレに行けない子どもだった。そこでお爺さんは一芝居打って仮病を演じる。豆太はお祖父さんのために怖がることを忘れて医者を呼びにいくことができたのだが…
と、読みの角度(アングル)が変わってくるのである。
ちなみに私自身はこの話を次のように解釈している。
この話はお祖父さんの孫育ての話である。怖がりの孫を成長させようと一芝居打って仮病を演じる。結果、豆太は夜一人で医者を呼んでくることができたが、次の日には、トイレが怖い豆太に戻っている。子どもを育てるとはそう簡単にはいかないものだ、というストーリーである。
ところで次の問いを教師たちに提示してみたところ、面白いことがわかった。
「おじいさんの腹痛は仮病だったか」
仮病だと考える人は意外にも少なく、仮病でないと考える人が多い。
真っ二つに分かれるのである。
例えば、これを6年生や中学生、はたまた高校生や大学生に提示てみたらどうだろうか。
相当面白い国語の授業が成立しそうなのである。