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30秒で集まりなさい

ふと外を見ると、体育の授業が行われている。サッカーの授業だ。体育教師が笛を吹いて、子どもたちを集めたようだが、どうにも集合が遅い。集合の笛を無視してパス練習にはげんでいるのは、地域のサッカー団体に参加している子どもたち。彼らはこうした小さな反抗を楽しんでいる風でもある。

私の学級で授業をすると、こういうことが起こらないのには理由がある。

4月の最初の体育の時間に「集合」の練習をするからだ。

体育の集合では、きちんと列に並ぶ方法もあるが、丸くなって集まる方が効率的である。(並ぶ時間がもったいないからだ)

授業で教師の前に集まるのは基本的に45分間で2回である。最初の指示と、終わりの確認。何もなければそれだけである。

授業開始時、子どもたちは準備運動を終え、グループごとに課題をこなしている(サッカーだとパス練習)

そこへ笛が3回鳴る。子どもたちは30秒以内に疾走して集まって座る。ただそれだけである。30秒以内に集まれないとどうなるか?もちろん練習だからやり直しである。これを最初の段階でやっておくと、子どもたちはそもそも30秒で戻れないような遠くへは行かない。戻れる場所で活動する習慣がつくのである。

用具の片付けがある場合は、集合時刻を予告しておく。すると逆算して早めに片付けを行うようになる。気付けば、集合の笛を吹く前にほぼ全員集まって座っている状態になる。

今の学校で圧倒的に足りないのは、こうした子どもの動きを作り出す教師の技術である。技術がないから、子どもを動かせないし、いつまで経っても子どもが指示を待つ状態になってしまう。

そして、それが悪化した結果が冒頭の体育授業での集合というわけである。

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