圧倒的な存在感を出す
昔、新日本プロレスにアントニオ猪木というレスラーがいた。最近の人には「元気ですかー!」の人だと認識されているのではないだろうか。
猪木さんは晩年「ダー!」とか「元気ですかー!」などのかけ声でバラエティ番組などに出演していたのだが、これは猪木さんが国会議員として選出されるための戦略だったともいわれている。(実際、国会議員としての実績もあり、北朝鮮との太いパイプを活かして交渉係として活躍していたとされる)
現役時代の猪木さんはカリスマであった。新日本プロレスの顔である。
通常プロレスの興行は全部で8試合くらい組まれる。最初は新人戦が行われ、徐々に有名なれすらーが登場するが、最初の方では観客も少なく、あまり盛り上がらない。
会場が満員になるのは残り3試合くらいからで、彼らの目的はセミファイナルと呼ばれる、最後から2番目の試合とメインイベントと呼ばれる猪木さん絡みの試合である。
興行はその日の試合内容によって盛り上がったり盛り上がらなかったりする。外国人レスラーは試合内容のムラが激しく、ノリの悪い日はちょっと活躍してあとは休んでいたりすることもある。
観客の真の目的はアントニオ猪木の試合である。すべての客の視線を釘付けにするカリスマ。要するにその日の興行の出来、不出来に関わらず、最後に猪木がリングに上がればそれですべて帳消しとなってしまうくらいの存在感。それがアントニオ猪木というレスラーの真骨頂だった。
レスラーというのは、観客の前に立ち、自身の存在感を軸として観客を想いのままに操り、熱狂させ(時にはわざとがっかりさせ)試合を創り上げていく。
これはまさに教室での授業と同じなのである。
すごい教師というのは、その存在感だけで、子どもを惹きつけることができる。
その立ち姿、視線の送りかた、声の出しかた、盛り上げかた…
こうした細部にこだわって教師自身のカリスマ性を高めているのである。
こういうことを書くと「自分には無理」と考える人もいるが、それはハッキリ言って間違いである。
カリスマ性というのは、天性のものではない。本人の考え方次第で、いくらでも後天的に身につけることができるのである。
あとは、本人が自分磨きをするかどうかにかかっているのである。