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なぜプーチンは嵌められたのか/孫崎享 論 ❷

プーチン大統領はウクライナ侵攻前、西側に何度も騙されてきたと語る。出発点は1989年11月のベルリンの壁の崩壊。1990年10月の東西ドイツの統一。統一前の旧ソ連は全面的な支持はしていなかったとの事。なぜなら、【レニングラード包囲戦】【スターリングラードの戦い】が背景にあり、旧ソ連は基本的に、ドイツ統一を歓迎せず、寧ろ再び脅威を与える存在と思っているからとの事だ。旧ソ連の不安緩和の為に当時ジョージ・ブッシュ大統領(パパ・ブッシュの方)、ヘルムート・コール首相、フランソワ・ミッテラン大統領、マーガレット・サッチャー首相等が【NATOは東方拡大しない】とミハイル・ゴルバチョフ大統領に約束をした。当時ジェイムズ・ベイカー米国務長官はゴルバチョフ大統領に【NATO軍の管轄はドイツに留まり1ミリたりとも東方拡大しない】(1990年2月9日)と約束したとの事。口約束だったのか書面でのやり取りがあったのかまでは、どの書物にも書かれてはいないが定説ではある。統一したドイツをNATOの枠組みに入れ【NATOはドイツ迄で東方拡大はしない】が冷戦後のヨーロッパ安全保障だった。2021年12月、プーチン大統領はアメリカや同盟諸国に再びヨーロッパの安全保障の原則とNATOの不拡大について合意を成立させようと試みたとの事。しかし『アメリカに騙された』『無駄だった』という結論に至った。ロシア軍が2022年1月23日、ウクライナ国境付近に集結し再度【NATOの東方拡大をやめなさい】【ウクライナのNATO加盟をやめなさい】と、ビデオ声明で最後通牒をした。NATO事務総長ストルテンベルグは要求を頑なに拒否した。この時、プーチン大統領はウクライナに誘き出され、罠に引っ掛かった、と孫崎享 氏は述べる。

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