中島安里紗新チーム名決定、新時代に流れるラスカチョの血
SEAdLINNNGの中島安里紗が新たに結成した新チーム名が『Las Fresa de Egoistas(ラス・フレッサ・デ・エゴイスタス)』に決定した。"ワガママな苺"を意味するこの名前には様々な歴史が流れている。
このチームが結成されるきっかけとなった流れについては、上記事を確認頂くとして、"下品"と相手から評された人達が何かに惹かれて集まってきたわけだが、Fresaというのは苺、という意味以外に、スペイン語で気取った人、俗物的な人というスラングでもあり、まさに安里紗のこと、と名付けた下田美馬が言う辺りよく出来ている。
中島安里紗というレスラーはまさしく俗物的なレスラーだ。常に不安定さを抱え、自分の強さと欲求のままに動き、団体の垣根も本音も建前も存在しない。ワガママで社会性がない上に我が強いレスラー、とここまで口にした時に気付いた。この言葉、北斗晶にも通ずる。
首の故障から対戦相手に腫れ物に触られるような試合をされた北斗が反対に相手を破壊するような無茶苦茶な試合を続けた。その結果、デンジャラス・クイーンとして知られることとなる。歯にもの着せぬ物言い。団体の垣根を越えた戦いは神取との伝説の試合を生んだ。世が世なら中島にも北斗ほどのチャンスが舞い込んできた可能性がある。
そんな中島がレスラーとして尊敬するのが、北斗の付き人としてラス・カチョーラス・オリエンタレスを組んでいた下田というのが面白い。同じく付き人をやっていた三田英津子の3人ユニットであり、北斗引退後に一気に花開き90年代の女子プロレス界のタッグ屋といえばラスカチョという時代を作り上げた。
下田、三田の二人はセンスもなく、北斗から常に怒られていたという話は常々見るが、以後90年代後半に入り、他団体などを荒らしまくっていた頃も運動神経や間で言えば別段秀でているわけではない。ただヒールタッグとしての機能、ブランド、どうすればお客さんのヒートを買うかというレスラーとしての最も大事なところを徹底的に叩き込まれたから、商品価値があったことが分かる。
そうやって業界をサバイブしてきた下田が今の若いレスラーと結託するというところにこのユニットの面白さがあるわけだが、実はもう1つ、ラスカチョとこのユニットに結びつくポイントがある。それは真琴の存在だ。
元対人恐怖症で引きこもり、二次元ヲタクながら今はセクシーさを売りにしイメージビデオも売ってる真琴だが、引きこもっている時に見たWWEのトリッシュ・ストラタスに憧れレスラーになった後、遭遇した三田英津子にべた惚れし、半ばストーカー、今ならガチ恋レベルの厄介さでつきまとい、三田の最後のシングル戦ももぎ取った。そう、ラスエゴにはラスカチョの血が流れているのだ。
性同一性障害レスラーである朱崇花はDDTやW-1など男子団体も股にかける実力派だし、Marvelousから来た若手のMariaはこの毒々しく下品なお姉様達から他の新人では得れない様々な技術を得ることが出来るだろう。
全女が解体され、女子プロレス団体は再編を繰り返し続けている。かつての全女を支えてきたレスラーが散り散りになりながら、それぞれが団体を抱えているような状況で、団体を渡り歩き業界をかき回したフリーレスラーの走りのようなラスカチョを継ぐユニットが生まれたことはSEAdLINNNGだけに限らず、大きな話題を生む可能性がある。
頼むから中島………こればかりは短気を起こさずにライフワークにするぐらい大事にしてくれ……尾崎の正危軍みたいにメンバー入れ替わりながらでも、この名前をつけてもらったユニットは絶対壊しちゃいけんよ………