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GLIM SPANKY / ダミーロックとブルース (2013)

音楽を聴いて鳥肌が立つ事がある。

今回のこの『GLIM SPANKY』を聴いた時が正にそうだった。


最初に『GLIM SPANKY』を聴いたのは2014年のワゴンRのCMだった。
そう。ヤンキー御用達の車ワゴンR。
ダッシュボードに訳の分からない白いふわふわを置くあのワゴンR。
車体は白か黒で、青いLEDで無駄に光らせて、シフトノブもどこで売っているか分からないクリアなやつで、キティちゃんの健康サンダルを履いているあのワゴンRだ。

そんなヤンキー車のCMがGLIM SPANKYだったのだ。厳密に言うとその時はまだユニット自体を知らなくて、それが"GLIM SPANKY"だと認識していなかった。しかも使われていた楽曲がJanis Joplinの「MOVE OVER」のカバー!うわっ!!誰これ!!カッコ良い!!!と即座に思ったのだ。

・下北のジャニス

うわっ!!誰これ!!カッコ良い!!!となったその時、最初に思い浮かんだのが"下北のジャニス"こと「金子マリ」

"下北のジャニス"こと、金子マリ

見た目もさる事ながら、しゃがれた声の歌い方までもがジャニスに似ている。何なら「MOVE OVER」もカバーしていたのだ。だから真っ先に思い浮かんだ。

日本のレジェンド的なギタリストCharと「スモーキー・メディスン」を組んでいたり、後に結婚するドラマーのジョニー吉長と「金子マリ&バックスバニー」を組んでいたりと70年代後半の日本のロックの超重要なバンドと深い関わりがある人物だ。

凄いのが、Charの息子は「RIZE」のJESSE。金子マリとジョニー吉長の息子もRIZEのKenKenと金子ノブアキ。
加えて言えば、Charとジョニー吉長も「JOHNNY, LOUIS & CHAR」(後に、ピンククラウドに改名)でバンドを組んでいた。その息子達がおよそ20年後に「RIZE」を組むなんて凄いですよね。音楽性は違えど親の影響ってやっぱりデカい。


・GLIM SPANKYとは

話がかなり逸れたが、結局最初に聴いたワゴンRのCMは調べたら金子マリでは無く"GLIM SPANKY"と言う当時聴いた事も見た事もない男女2人組のユニットだった。

同時期くらいに何となく深夜のテレ東のドラマを観ていたらエンディングで流れていた「褒めろよ」と言う曲も「うわっ!この前聴いたワゴンRのCMの人と同じ感じ!!」と思って調べたらそれも"GLIM SPANKY"だったのだ。

同時に2曲ともに撃ち抜かれた。

早速YouTubeでPVを観たら松尾レミのしゃがれた声とその容姿、亀本寛貴のジミーペイジ的なギター、その両方ともにまた撃ち抜かれた。

松尾レミは当時まだ黒髪パッツンで鋭い目つきと言う個人的にはめちゃくちゃ好きなタイプだった。

ボーカル 松尾レミ

この雰囲気がめちゃくちゃカッコ良い。そしてあのしゃがれた声である。最高。とても魅力的。そんな所も相まって、インタビューとかを読んでいたらどうやら60〜70年代のブルースロック、サイケデリックロックからかなり影響を受けている様でその辺の文化や音楽が大好きだと知った。父親もそういう文化が好きでお店をやっていると言うのも知った。
やはり、親の影響はかなりデカい。

自分もその頃にジャニス、cream、ドアーズ、ジミヘン、ピンクフロイド等を聞いていたので一瞬でどハマりしたのだ。

・GLIM SPANKYの凄さ

何よりもカッコ良いし凄いと思ったのが、全く流行っていないこの辺のロックをこの当時にやろうとした事である。そして、それが受け入れられた事。

正直な話、ブルースロックやサイケデリックロックなんて自分みたいなおじさんにしかハマらないと思う。それをしかも日本語でやると言うのも凄い。めちゃくちゃ攻めていると当時思った。

どこかのインタビューで読んだのだが、そこは松尾レミがかなり意識しているみたいで、

「英語が分からない自分が英語の曲を聴いてカッコ良いと思うのだから、日本語が分からない海外の人達が聴いてもカッコ良いと思わせられるし、そうしたい。だから、日本語に拘って歌いたい。」

みたいな事を言っていた。めちゃくちゃカッコ良い。この姿勢がロックだ。全くその通りだと思った。その時、地元で古着屋をしたいと思っていたが無理な事なんて無いんだと勇気づけられたし、奮い立たされた。

そして、過去作品を聴いて行く中で今回のこの曲と出会って聴いた瞬間にあまりのカッコ良さに鳥肌が立った。卒倒しそうだった。

・MUSIC FREAK (2013)

この曲も収録されているEP「MUSIC FREAK」、ドラマにも使われていたシングル「褒めろよ」(2015)、初のフルアルバム「SUNRISE JOURNEY」(2015)とその時販売されていたCDを一気に3枚買って聴きまくった。それくらいにどハマりした。

中でもMUSIC FREAKは超名盤だと個人的には思っていて、擦り切れるくらい聴いた。
M1「ダミーロックとブルース」のイントロからもうやられるし、M2「flower song」と激しめなのが続き、M3「ミュージック・フリーク」のアコギとエレキの静かな中にも熱量がめちゃくちゃ籠っているのもカッコ良いし、M4「Gypsy」でまたギアを上げて、M5「夜風の街」でしっぽりと哀愁が漂うシメ。

流れも最高だし、どの曲も全部ギターのリフが特徴的でカッコ良く必然的に気分が高揚する。5曲なのに凄みがあるし、21、2歳の人達が作ったとは思えないくらいに渋みがある。

これはもう、とんでもないバンドを見つけてしまったと震え上がりましたね〜
誰しもが思うんでしょうけどね。

・SUNRISE JOURNEY(2015)

初のフルアルバムのこれもめちゃくちゃハマった。過去に出たシングルやEPに収録されていた曲も収録されている。

フルアルバムでかなり気合が入っている。プロデュースが「スーパーカー」のメンバーで、数々のプロデュースもした「いしわたり淳治」、椎名林檎をプロデュースしたりバンド「東京事変」にもベースで参加している「亀田誠治」

更に言うと、以前ご紹介した「OKAMOTO'S」の前身バンド「ズットズレテルズ」も出場した若手バンドの登竜門「閃光ライオット」でも一緒だったハマ・オカモト、「くるり」や「54-71」でもドラムをやっていたbobo等が数曲参加している。

EPにも収録されていた「焦燥」が中でも度肝を抜かされた。これを聴いて生で観たいと思いこの時ライブにも行った。生で聴くとまた違うし、心臓まで響いてくる音に終始ゾクゾクした。ステージングがカッコ良いのは勿論、入場曲が「The Velvet Underground」だし、モヤの中から松尾レミが出てきた時は何か別次元の別世界の様な自分がどこにいるのか、時間を忘れる様な音楽的トリップ体験だった。
何もかもが拘り抜かれていた。

それから何度かライブに足を運んだ。
作品もずっと買い続けていて、「ワイルドサイドを行け」(2016)(ルー・リードのワイルドサイドを歩けをサンプリングしたタイトル!)、「The Black Keys」的な雰囲気もあるタイトル通り次のステップに行った「Next One」(2016)、初期の名作「Velvet Theater」が収録されていたりとサイケデリック色が強い「BIZARRE CARNIVAL」(2017)とかも好きですね〜

・現在の音楽と過去の音楽との関連と深掘り

GLIM SPANKYとの出会いや音楽もまた、今の日本の音楽を好きになって聴くきっかけにもなった。この頃からライブに頻繁に行き始めた。過去の解散してしまったバンドや過去の海外のバンドは観れなかったから、ライブにもあまり行った事がなかった。

しかし、今カッコ良いと思うバンドを今観とかないと後で後悔すると思った。今ライブが観れるバンドってかなりありがたいし、貴重だと。だからライブに行くようになった。理由が出来た。

彼らの音楽が無かったら間違い無く今こんなに音楽を好きになって無い。過去に聴いてきた音楽と繋がって、"自分が何故その音楽、曲、ジャンルが好きなのか?"と言う答え合わせになっている様な気がする。YouTubeで言う所の「関連動画」が頭の中に溜まっていっている感覚。

金子マリが好きだからGLIM SPANKYもハマるのか!とか、そういうのが好きだったらブルースロック好きなんだなとか、だったらブルースロックってどんなバンドがいるのかな、ブルースも聴いてみようとか深掘りして無限に広げられる。この作業が楽しくて楽しくて辞められない。そして今に至るまで掘り続けている。
これからも終わりなき旅は続いて行くだろう。

最後に、、、
2人なのに凄みがあると思ったのは「The White Stripes」以来。松尾レミも以前、番組のインタビューで影響を受けたと言っていたアルバムから1曲をご紹介してシメにしようと思う。

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