もっとゆるくてもいいじゃない？　“非合理”があなたの心を潤す理由

第1章：合理化社会の今──効率だけ追い求める時代

1-1．“無駄”を削るのが良いこと……のはずが
最近はどこを見渡しても、効率性や合理性が重視される場面が増えましたよね。たとえば、仕事のやり方をマニュアル化して時短を図ったり、生活で使うアイテムをミニマム化してコストを抑えるとか、「極力ムダを省こう！」という流れが一般的になっています。
もちろん、ビジネスや家計においてムダを減らすことは大事。余計な出費や時間を浪費しないのは、豊かな暮らしにも繋がる面があります。
1-2．感情を置き去りにされがち
ただ、効率ばかり優先しているうちに、人間の感情面がないがしろにされてはいないでしょうか？ 仕事は速く終わったけど、なんだか味気ない……。無駄を徹底的に削ぎ落とした結果、「これ、好きだったのになくしちゃった」という虚無感が残る。そんな経験をしている人も多いのでは？
合理化は確かに便利ですが、それだけだと心の満足感が不足しがちです。そこを見過ごすと、知らず知らずのうちにストレスが溜まるという落とし穴があるのです。

第2章：非合理なものを愛するとは？

2-1．わかりやすい例：趣味やコレクション
“非合理なものを認めて愛する”というと、たとえば「趣味のコレクション」なんかが典型的です。フィギュアが好きで部屋に並べたり、レコードが好きでアナログ盤を集めたり……正直、それらは「実用性」という点ではあまり大した意味がないかもしれません。
でも、それを持っているだけで心が踊る・元気になれるという感情は、理屈じゃ割り切れない人間らしさ。あえて非合理的な嗜好を大切にすることで、ストレスが解消され、日々のモチベーションがアップするんですよね。
2-2．ゆるさや遊び心も“非合理”
また、仕事や日常生活にも“遊び心”という非合理な面があったほうが楽しいもの。たとえば、オフィスの休憩室を可愛い雑貨で飾るとか、業務マニュアルにちょっと面白いイラストを入れるなど、一見ムダに見える演出が場の雰囲気を和ませてくれます。
“意味がないんだからやめよう”と一刀両断するのは簡単ですが、逆にそれがあるだけでチームの笑いが増えたりする。そこに人間の心がホッとするスペースが宿るわけです。

第3章：ストレスが減る仕組み──“非合理”で満たされる隙間

3-1．思考の切り替えと癒やし効果
人はずっと「効率」「生産性」「成果」といった合理性モードに浸っていると、頭も心も疲れ切ってしまいます。そこで、“何も生み出さない”けれど楽しいことや、感情を動かしてくれるものに触れると脳がリフレッシュされるんですね。
たとえば、アロマキャンドルを焚く習慣。「香りで何か生産できるの？」と問われれば、即答はしにくいかもしれません。でも、リラックス効果でストレス軽減になり、結果的には仕事のパフォーマンス向上や健康維持にも繋がっているかもしれません。
3-2．自己肯定感を育む
ときに非合理なこだわりや趣味を続けていると、「私はこれが好きでいいんだ」と自己肯定感が生まれやすくなります。人間が自分を受け入れる感覚は、ストレス耐性を高める重要なファクター。
一方、“徹底的にムダを排除”すると、自分のアイデンティティの支柱となる嗜好や個性まで捨ててしまい、心がギスギスする恐れがあるんです。つまり、“ムダっぽい好きなモノ”を持つことが、精神面の安定に大きく寄与してくれるというわけです。

第4章：どうバランスを取る？──合理性×非合理性の共存

4-1．必要最低限を守りつつ“余白”を作る
もちろん、まったく合理性を捨てて生きるのは厳しいでしょう。仕事でも生活費でも、ある程度の効率と生産性は必要です。ただ、それが全てになってしまうと息苦しい。だからこそ、少し余白を残すという考え方が鍵になります。
たとえば、「毎月の趣味予算」をちょっとだけ確保する。あるいは「週に1回は徹底的に好きなことに没頭する時間をつくる」など、優先順位を決めて非合理な喜びを生活に組み込む工夫です。
4-2．非合理がもたらす創造性
会社の会議でも、雑談やブレストの時間をあえて設けるのは無駄に思えるかもしれませんが、そこから革新的なアイデアが生まれることが意外と多いんですよね。カチッとしたアジェンダだけを淡々とこなす会議より、自由な話題が飛び交う場のほうが創造性やチームの連帯感が高まるケースが少なくありません。
結果的に、これまで想像しなかった商品が企画されたり、思わぬ解決策が見つかったりと、合理性だけでは生まれない発想が生まれるのが“非合理”の力と言えます。

まとめ──“非合理”をあえて認めて愛する余地がストレスを溶かす

現代社会では、とにかく効率重視・ムダ排除の風潮が強まり、物事をいかに最適化するかが重視されています。しかし、その反動か、どこかで「心が潤わない」「ストレスがたまる」と感じる人も増えているのが実情です。
非合理なモノやコトを“好きだからOK”と認める行為には、
• 脳のリフレッシュ効果
• 自己肯定感のアップ
• 創造性やチームの連帯感向上
といったメリットがあり、それがストレス低減にも繋がります。結果的に、合理性と非合理性をうまく共存させることで、人生やビジネスをより豊かにできるはずです。
• まずは無理のない範囲で“余白”を設ける
• 好きな趣味やちょっとした演出を大事にする
• 会社や組織でも雑談や遊び心を取り入れ、アイデアの源泉に
こうした“非合理を愛する”アクションが、意外な形で効率を上げることさえあるでしょう。ぜひ、頑張りすぎずに自分の心がリラックスできる時間や空間を取り入れてみてください。バランスのとれた生活こそが、長い目で見ると最大の成果をもたらしてくれるかもしれません。