絵本から経済を考える 第8回 「続・鬼の経済学」 谷 美里
前回の連載では、現代の発展途上国における貧困問題を扱った代表的な絵本2冊『Beatrice’s Goat』と『Cloud Tea Monkeys』を取り上げ、それらの物語形式が昔話でお馴染みの「長者譚」と「報恩譚」であることを指摘した。そして、他者に親切にすればやがて報われ、貧しさから抜け出せるというストーリーは、貧しき世の人々の願いを反映した昔話ならいざ知らず、現代の英米で制作された途上国を舞台にした絵本としては、致命的に着眼点がズレているということを述べた。私たちが見る