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【読書】ヒョンナムオッパへ|21世紀に分断せずにはいられない人類のこと

ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集

最近めっきり韓国づいていて、うきうきしながら読んだ

この本を読んだ後、遅ればせながら「82年生まれ、キム・ヨジン」も読んだけど、最近でいちばん怖いおはなしだった
韓国はOECD諸国の中で最も男女の賃金格差が大きい
妊娠した女性の多くはキャリアを手放し、産まれたのが女児であれば男児が生まれるまで諦めないことを求められる

それはつまり、かつて女児として産まれた女性たちが、「自分は真に望まれて生まれてきた子どもだったのか」を常に意識せざるを得ない環境にある、ということ

私は95年生まれ、13歳しか違わない女性の苦しみを感じています


「ハルピュイアと祭りの夜」ク・ビョンモ


ク・ビョンモと言えば「破果」で知られた方もいらっしゃるかと思うのですが、私は未読です
早く読みたい…

あらすじ

高額の賞金を懸けた女装大会に、友人ハンの代わりに参加したピョ。脱げない靴。落ちないメイク。身体から離れない衣装で、突如襲撃に遭う彼らはなぜ、集められたのか。

感想(以下、ネタバレと私の思想を含みます)

なんてストレートで皮肉な話なのか

悪いやつがバンバンやられる話は大好き。心に勧善懲悪を絵に描いたような正義感バカ強いババアがいて、彼女が大変満足する

この短編集の著者が女性ばかりなのが、”フェミニズム”の体現だ
(多くの書評に「新進気鋭の」「若き女性作家たち」という文言が多用されていますが、全員の著作時の年齢を推察するのはだるいし何歳以前を若いとするのか?という議論もしたくないので今回は検討しません)

フェミニズムという運動・思想は必ずしも女性だけが当事者ではない
確かに、不利益を感じて撤回を求める側ではあるが、男女を問わず、年齢を問わず、全員の意識から改革しなければ達成できない課題が多すぎるのに
お前らの問題だろ?お前らが頑張れよ、署名活動とかビラとか配って法案通せよ、みたいな無関心の層が厚すぎる、と、感じている

先人たちのおかげで見た目上の平等(参政権や雇用機会均等法整備など)を手に入れたあとの、情緒的な平等(ケアする労働者は女性であるべき、苗字を変更するのは特別な理由がない限り女性であるべき、など)は、女性だけでは克服できない部分が多すぎることは想像に難くないのに


これは、あくまで私から見える範囲に起きていることではあるが、「女性VS男性」の分断が続く限り、解決できない
分断した時点でどちらも負け、だと思うし

ただ、文化の成熟には分断の時期も必要だという考えも否定できない(子供の発育におけるイヤイヤ期みたいな)し、
今はでっかい声でみんなに「聞け!!」を表明することが重要な時期、かも

ここで断言できないのは私個人の弱さであり、世の女性たちを代弁するものではありません

昨日、ニュースで国連から「結婚後に夫婦の姓を統一しなければならない制度について変更を求める」と日本政府に対して指示があったと言っていた
これで4回目らしい
3回も無視してるんだからもっと怒ってほしい、私の、私たちの代わりに


女装大会に参加した性加害者たちが襲撃を受ける、というあまりにも直接的な勧善懲悪ストーリーをク・ビョンモが本当に良しとして書いたのか?
これは私の想像の域を出ませんが、
もし、私個人がここから間接的な意図をかなり意地悪な方向で汲み取るとしたら、それは「想像力のない人にもわかりやすいように書いたよ、頑張って想像しておびえてね」である

ピョが友人ハンの性加害行為を「自分と付き合う中では関係ないこと」みたいに位置づけているけど、それは自分以外の人間の立場に立つことを、想像することさえも放棄している
これは私には間接的な加害だと思われる

立場を一つだけ選ばなければいけないなら、「自分と付き合う中では関係ないこと」と割り切ることも必要かもしれないが、
すでに起こった犯罪があって、おそらく未遂事件もあるならば、せめて被害者に想像を巡らせたうえで友人として付き合うくらいのことができない者たち
被害者たちにとっては呪いにも思える服装で、賞金のために臆面もなく人前に立つ、自分の罪を客観視できない者たち


そんな人にも、わかりやすいように書いたよ、と、海の向こうで、言っている、かもしれない

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