勿忘熊(3746字)
エネルギー資源探査のために衛星UM93を訪れた調査隊は、島の頂上を目指し丘を登っていた。白濁の海と恒常化した靄に覆われたこの星にどれだけの陸地が存在しているのか正確にはわかっていない。現時点で判明しているのは不定期に発生する津波が陸地を浸食し、群島化が進んでいるということだった。丘の中腹あたりに白い澱みが点在している。余程大きな波が来た証拠だろうと調査隊の隊長を務める男は思った。
「隊長。ここの海中には浮遊物質があり、バーミキュライトやカオリンなどの粘土鉱物が主なようです。