社長がChatGPTと対談してみたら面白かった。AIの実力をどう感じたか。
こんにちは。位置情報ベンチャーLocationMind社長の桐谷直毅です。今日は流行りのChatGPTを使ってみようと思います。生成系AIで世界が変わるのは間違いないと他の社長さん方と意見交換をしています。実際、ChatGPTと会話してどうだったのか?思う所を社長目線で書いてみました。
Hello ChatGPT
まずはChatGPTに自己紹介をしよう!ChatGPTさんは私のことをご存じなんでしょうか(笑)私はLocationMindの社長をしているのですが、それを認知してくれているかを聞いてみよう。知っててくれると嬉しい!
ということで、『桐谷直毅とスタートアップの関係を教えて下さい』と聞いてみました。
なんと!私がこんな凄い人間だったなんて!と言いたいところなのですが、一番下のLocationMindの部分以外は事実ではありません。メルカリやfreeeやWantedlyの業務内容は、私の知識のかぎりでは的を得ているのですが、なぜ桐谷がこれらの社長とか共同創業者になっているのかは謎。信じる人はそうそう居ないと思いますが、こういう文章が出てきたときに信じがちな人にはちょっと困った社会が目の前に迫っています。
ChatGPTはWeb全体から学習しているため、悲しいことに桐谷が無名であるがため(涙)、桐谷に対する構造的なデータ(桐谷直毅=LocationMindの社長、とChatGPTが強い確信を持つためのデータ)がまだWeb上に無いということが問題でこういう事が起きます。個人的にはこれが生成系の弱点だと思っていて、事実関係に関する品質が劣悪なコンテンツが広がるのを止められない気がします。
一方で、これをチューニングしていくことで世の中が飛躍的に便利になる世界観も強く信じることができます。『桐谷直毅=LocationMindの社長』だとChatGPTに教えてあげればいいのですからね。また、例えばElon MuskやBill Gatesを題材に同じ質問をすると正確さがハネあがるのも確認していて、ひとえにこれらの偉人たちは知名度が高く、世の中で正しく信頼できるデータがWebに充実しているからこそです。
位置情報は何に使われてますか?
気を取り直して、次の質問は『位置情報は何に使われてますか?』です。ChatGPTさんはどう回答するのでしょうか?
これは悪くない気がします。確かにこれらで使われていると思います。どれもかなり違うビジネスであるということが面白いし、データ分析者としては色んな違う技術が絡んでいてそれもまた面白いなとも感じます。日々の営みを便利にするものから、命に係わるようなものまで様々に位置情報は使われています。
GPS受信機は毎年どのくらい販売されていますか?
この質問については、私の想定では、25億台という数字が説得的かなぁとは思っていましたが、ChatGPTさんはどう答えるかな?
前置きでお断りを入れつつ、情報ソースも示して記載しています。文章の書き方としては好感が持てます。スマートフォンがGPS搭載機器のうち最大シェアを占めていると私も考えていますので、情報の出し方としても何か整理されている印象を受けます。次いで自動車ですが、年間数百万台という推定は正しいのかどうかでいえば、ちょっと下ブレしている気もします。ですが、スマートフォンの次に自動車が来ているのも台数ベースでは良い整理だと感じますのでやはりここも素晴らしいですよね。結論までいくと、数十億台あるのではないかとしています。数十億と言うと10億台~90億台などと幅が出る表現となりますが、上記の流れから推論して20~30億台という推定を出してきたらChatGPTがいよいよ凄いなという気もしました。
秋葉原の昼間人口はどの程度ですか?
LocationMindは人流分析の会社です。これをChatGPTがちゃんと答えられるようになったらちょっと脅威ですが、果たしてどういう答えになるのでしょうか。
とてもそれっぽいですね。前段の下りなどはLocationMindでも取り入れると親切だなと思うくらいです。昼間人口が平日に20万人、週末に30万人というのも具体的で良い回答案だなと思いました。コロナで自粛しているという文脈はおそらく執筆時現在では、まだ2021年までの学習しかしていないということで2023年の文脈と沿わないものもあると思いますから割り引きます。一方で、何を根拠にこう表現するのかなと思ったので、さらに質問してみました。
秋葉原の昼間人口はどの程度ですか。ソースも示して下さい
更に深く聞いてみたのですが、ちょっと反応が面白かった。
回答が変わりました。それを謝れるのです、それがまず凄い。回答としては1.5倍くらい変動しましたので確認しなかったら私は不満な結果になっていたかもしれません。その代わりにソースまで示されました。多分ChatGPTがへの質問としては、こちらの方が良い回答が得られそうだということで、生成AIとの付き合い方は質問の仕方が大事そうですね。
とはいえ、1.5倍も推定値が変わるものかで言われれば、人流分析では事業者によってそのくらい差が出てもおかしくないとは思います。簡単な分析では差が出づらいですが、込み入った分析になってくると推定能力に技術力の差が出始めます。もうちょっとだけ質問してみましょうか。
秋葉原の昼間人口は、ゴールデンウィークの場合、どの程度ですか。ソースも示して下さい
先ほどの人流データは、通年の代表的な、平均値のようなデータなのだと思います。すると、ゴールデンウィークなど普段とは人出が異なりそうな日にはこの数字は参考になりません。ということで、観光のハイシーズンは地域によって色々とありえますが、これは人気のある分析テーマです。ChatGPTさんの回答はいかに:
ありえそうな回答ですね。ここでURLを確認してみようかなと思いクリックしてみたのですが、URLが切れてて記事がもうありませんでした。ということで誰がどう分析してそういう結論を出していたのかを今私が知ることはできません(その気になれば、日経のバックナンバーを取り寄せればいいのでしょうけれども)。Webから情報が消えていくことは少なくなく、記事もCMも色んなものがアーカイブされず去っていく。この期間中に学習したAIと、この期間後に学習したAIとでは違う結果が出てくる、或いはこうした推計もできないAIが出てくる。という具合に色々考えさせられます。
ゴールデンウィークに昼間人口が落ちる都市を2~3事例教えて下さい
この質問は、ChatGPTが劣っていると私が思ったケースです。
実際にこれらの地域で人口が増減したかは別にして。私は人流分析をして、人が増減したのは確認できますが、その理由付けをするのがいつも大変です。日本全国について知識があるわけではないし、観光業の第一人者でもありません。こうして人が減る理由を提案してくる能力があるのはやはり面白いし、誰かしらがこういう記載をしているからこそ生成AIがこうまとめているわけです。これを素案として、事実を確認するという使い方をすれば相当な時間が削減しえるだろうなと強く感じます。
また、LocationMindは人流分析が出来る会社なので、ゴールデンウィークに実際に人口が減った地域がわかります。それを用いて、なぜこの地域では人口が減ったと思うかとChatGPTに聞けば良いですね。実際の人口が何人だったか、いつもに比べてどのくらい減ったのか、どこから来た人が減ったのか、どの交通手段経由の人口流入が振るわなかったのか、などという分析は提供できますが、それぞれの裏にはそれらしい定性的な説明があると、よりリッチです。
前職のゴールドマン・サックスの時代に、お客様の株価を見て、過去に何で上がったのか下がったのかと過去を振り返って分析したりします。その時期にあった大きなニュースを探すのですが、多分こういう理由で株価が反応したんだなと推定します。株価のデータは昨今無償で色んなところで手に入るので、その理由を探ればいいわけでして、こういうものはChatGPTですぐ自動化できるはずです。一方で、人流データのように、誰かが分析しないと数字すらないものは、「売れるデータ」として価値があるし、ChatGPTとデータを接続する価値もまた高いと思います。推定人口が20万人と30万人とでは、だいぶ大きな違いだという点は、皆様に納得頂けると思います。
位置情報の生成AI
LocationMindでは過去数年、位置情報でも生成系があるだろうと萌芽的研究を重ねてきました。基盤となるモデルを確立すれば、次の位置情報をInputしたときには、それが10通りの示唆を生成したり、数多くの人の参考になるようなコンテンツとして自然言語で表現されるような世界観があると感じて研究しています。これも発表できるよう引き続き頑張ってみたいと考えています。
最後に
ChatGPTは世の中が大きく変わることを強くイメージしうる、面白い技術だと思います。何度もほしい情報を検索することすら必要なくて、ChatGPT上で情報を詰めて、回答案も成形してもえるとなると、何人かのチームが手に入ったかのような感覚で仕事が楽になるかも知れません。ただし、Factに関しては堂々と間違える点が怖いとも感じます。このあたりのチューニングは必ず方法論が確立すると思います。画像処理系のAIにせよ自分がほしい精度に向上するように追加の機械学習を行えるような仕組みになっていました。ここに正しい位置情報分析結果が参照されるように関わっていけると、より人流データを身近に使ってもらいやすくなるような優れた共存がある気がしてなりません。日進月歩の技術なので今の評価が半年後に妥当ではなくなっている可能性も含めてワクワクしたChatGPTとの対話でした。しかしまだまだ社長の座はChatGPTに奪われることはなさそうですね。
それでは、次の記事でまたお会いしましょう。
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