京都から移住して6カ月目、計画的偶然たわわな秋
月1回のペースでお送りする、「Oh!! 島セキララ記」。京都から福岡県宗像市の大島に移住した井口真理子さんが、島に移っての「セキララ」な日常を綴ります。移住して6カ月目、さらなる新しい変化も起こってきたようです。
インプットの旅に、アメリカへ
11月が終わろうとしている、27日。
京都から大島に移住して半年が経過した。
そして今この記事をアメリカに向かう飛行機の中で書いている。
今年、京都の盆地から大島へと海を渡り、今はアメリカ大陸へ向かっている。
思えば、1年間でこれほど多様な自然環境と移動距離を経験するのは初めてだ。
アメリカでは、精神的インプットの旅をする予定で、初めて訪れる地域ばかり。旅自体は、かなり前から計画していたが、流行病のこともあり、なかなか行けずにいた。ようやくの実現である。
この半年間、大島という新境地で非日常が日常へと変化する、新鮮なインプットに富んだ日々を送ってきた。一方で、定期的なアートプロジェクトや創作スケジュールがあり、島のアクティビティがあったりと、常にアウトプットし続ける日々でもあった。
今回、あえてMacBook Proを置いてきた。
あるとつい色々と作業したくなるからだ。
必需品の他は、スケッチブックとカメラ、いくつかの本。
それらの旅仲間たちと、精神的インプットに集中したい。楽しみだ。
各アートプロジェクトは継続中である。チームで動いているものもあり、そちらは出発前に、やっておきたいところまでを明確にして、やっておいた。今後のスケジュールも調整済みだ。
帰国後、目まぐるしい日々が明ける、その前夜なる旅、といった感じだろうか。
静と動。この旅は、来るべき動へ向けた、静なのかもしれない。
「計画的偶然」を予感して
11月は主にデジタル創作に勤しんでいた。
アーティスト、出資者、エンジニアという三位一体のチームが形成されている。それぞれの得意領域が掛け合わさり生まれる、スピード感。
定期ミーティングでは、創造的、経営的、技術的観点から活発な議論が繰り広げられる。
のどかな大島の民家で、最先端の議論がオンラインで展開する。その温度差が、なんとも不思議で面白い。
計画的偶然、という言葉が好きだ。
今のチームも、なんというか、鼻息荒く集まった人々というのではなく、人と人のご縁、いわば成り行きで出会ったメンバーである。
共通しているのは、各分野に対する、個の誠実さと情熱があること。成り行きでも、チームが続いていくにはこの二点は欠かせないと思う。
そして、今取り組んでいるプロジェクトも、それを初めからやろうと目論んでいたわけではない。まず、前からやってみたいなと妄想していたいくつかのことがあり、私が「最初にこれをやりたい!」と、言い出しっぺになる。その第1アクションに対して、「面白そうだから一緒にやってみよう」という声があがる。その「前からやってみたい」部分が「計画的」に当て嵌まり、たまたま繋がった素晴らしいメンバーが「偶然」に当て嵌まる。
私が大島に移住したのは、この計画的偶然性の高さを、なんとなく予見していたからだった。
その予見は、移住後半年が経ち、さまざまな形で具現化してきている。
ここまで書いておきながら、そのプロジェクトの具体的な内容はまだ記していない。
あえて、このままにして留めておきたい。
完成後、何らかの形でお披露目できる日も、そう遠くはないだろう。
どうぞ、お楽しみに。
そう言う自分が、一番楽しみにしている。
まずは、ロサンゼルスへ
今回、アメリカに行くのにはもう一つ目的がある。
ご縁があって、最近とある現地企業様より、絵画制作のオーダーをいただいた。そこで、担当者Mさんへのご挨拶も兼ねてロサンゼルスに行くことにしたのだ。
そして無事、ロサンゼルス空港に到着。
ここからは回想記となる。
これまでアメリカには何度か訪れたことはあるけれど、ロサンゼルスは初めてだ。映画「La La Land」の世界観そのもので、街並みを観ているだけでワクワクする。
Mさんのご家族がビーチ近くにショップアンドギャラリーを運営されていると聞き、そちらで合流することになっていた。
タクシーかウーバーを拾おうと空港を出るが、乗り場へは専用シャトルバスに乗ることになっているようだ。見つけて乗り込む。到着すると、乗り場には長蛇の列ができていた。順番は意外にもすぐ回ってきて、個人タクシーに乗車。
エチオピア人の運転手さんと、移住にまつわるエピソードやLAでの生活状況など、楽しく雑談。久々の英会話、ひとり旅の感覚に、旅の醍醐味を享受する。この3年間、流行病ですっかりこの海外旅行の楽しみから遠ざかっていたので、より新鮮に感じる。
おしゃべりに夢中になっていると、あっという間に目的地へ到着。「Cherry CO」さんというお店だ。
アートショップとギャラリーが併設されている。
今回、Mさんのご紹介もあって、私のアートワークを取り扱っていただけることになった。
ご挨拶が済んだ後、ビーチを散策。時差があるため、大島を27日の朝に出発したのに、ロスではまだ27日の昼だ。同じ日に二つの異なる国の海岸を見ていると、どこでもドアでワープしたような、なんとも不思議な気持ちになる。
皆さんとメキシカンランチを食べながら、談笑。生き方そのものがクリエイティブな方々で、心地よい刺激をいただく。大島のことも紹介すると行ってみたいと興味を持たれていた。いつかぜひご案内したい。
ロサンゼルスを後にして、次の目的地に向かった。今は砂漠地帯の一角にいる。
こうしてここにいるのも、何かの計画的偶然である気がする。
しかし、これらは物語の始まりにすぎない。
計画的偶然が、結果的必然となるための。
物語がこれからどのような展開を見せるのか、どうぞ、お楽しみに。
そういう自分が、一番楽しみにしている。
2022年11月27日〜29日
井口真理子
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