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ニュータウンソング5曲を聴きながら振り返る、わがニュータウン人生。

「ニュータウン」
なんと、オールドな響きでしょうか。

ニュータウンとは、計画的に作られた大きな住宅地のことです。


僕は東京西部の、とあるニュータウンで育ちました。

丘の上に作られ、一軒家がズラリと並ぶ街。
たくさんの子育て世代が過ごし、小中学校も大きくめっちゃ賑やかな街でした。

大学進学のタイミングで街から離れましたが、時々帰るので今もニュータウンをウォッチしつづけています。
3年間ほど、ニュータウン関係の仕事をしたこともあり、ニュータウンにはちょっと思い入れがあるんです。


ここ最近は、親の立場になって街の見え方が、一段と変わってきたんですよね。

ニュータウンのこと、みんなはどう見ているんだろうか。自分が気になるものは、人がどう見ているかも気になっちゃう。

そんな気持ちで、日本の実在するニュータウンを描いた5曲を聞きながら、わがニュータウン人生を振り返ります。きっとニュータウンには、未来図的なものが足りないんじゃないかと思っています。


ニュータウンが描かれる5曲


▶ Let's Go ヒバリヒルズ/JUN SKY WALKER(S)(1990年)

レッツゴーヒバリヒルズ レッツゴーヒバリヒルズ
レッツゴーヒバリヒルズ 俺の1等地

Let's Go ヒバリヒルズ/JUN SKY WALKER(S)

東京都の西東京市や東久留米市にある住宅団地「ひばりが丘」が舞台の曲。90年代の曲。「俺の街だぜ!」とニュータウン愛がモリモリの曲です。

ニュータウンが、若く活気のある街として描かれます。

僕は、この曲と同じく90年代をニュータウンで過ごしました。
大きくなるにつれて、どんどん建物も人も増えて、活気に満ち溢れていました。地区内のお店も少しずつ増えていきます。

マクドナルドやコンビニができた時は「大都会の仲間入りだ!」と思って、これからさらに都会化すると思ってましたね。
そんなことなかったけど。

印象的なのが町内会の夏祭り。街中の子どもたちが集合していたので、めっさ賑やか。オールスター感謝祭かと思いましたよ。

配られる焼きそばがめっちゃ美味しかった記憶だけど、今思うとマルちゃん焼きそばだったな。
味って雰囲気次第だよね。


▶ たまたまニュータウン/相対性理論(2013年)

ニュータウンで暮らす 2DKの入れ物で
ミュータント増殖 なんてことない核家族

たまたまニュータウン/相対性理論

東京西部の八王子市・多摩市・稲城市・町田市にまたがる「多摩ニュータウン」をモチーフにした歌。日本最大級のマンモスニュータウンです。

ニュータウンは、よそから来た人で構成された街。希薄な人間関係やご近所問題が盛り込まれた歌です。

ニュータウンは、新しい都市問題の象徴として描かれます。

僕が思いだしたご近所問題。

いつも遊ぶ公園の隣に、いつもボールが飛び込んでしまう家がありました。ボールが入ってしまったら、ピンポンして「すみません!ボール入っちゃったんで取らせてください!」って言って庭にお邪魔してボール回収。

ガラスを割ったりとかはなかったけど、空き地のとなりのカミナリさんちに野球ボールが飛び込んだ的な話。

当時はよくある話だと思ってました。今にして思うと、公園と一軒家が近いニュータウンだからこその経験なんじゃないか?


▶ マイホームタウン/浜田省吾(1982年)

今夜誰もが夢見ている
いつの日にかこの街から出て行くことを

マイホームタウン/浜田省吾

「希望が丘ニュータウン」が出てきます。大阪府豊能町にある希望が丘ニュータウンが有名ですが、正確な場所は分かっていない曲です。もしかしたら、それっぽい架空の町なのかも。

成長するなかで「別の場所に行きたい!」と思うことは誰しもありそうですが、この歌では「ここにいたくない!」とネガティブ強めな感情で歌われています。

ニュータウンは、出ていきたい閉塞感のある場所として描かれます。

僕の住んでいたニュータウンでは、同じようなサイズの土地に同じようなサイズの建物がズラリと並んでいました。家族構成もみんな核家族。

当時は何とも思っていなかったけど、思いかえせば画一的で多様性は低かったと思う。もしかしたら、それを閉塞感に感じる人もいるんだろうな。

あそこに住む人の職業の多様性はあったんだろうか。友達のお父さんお母さんが、何をしてるかなんて全然知らなかったな。

※浜田省吾さんのオフィシャル動画がなかったので、BankBandのカバーバージョンを貼っておきます。


▶ 26歳の夏休み/神聖かまってちゃん(2011年)

ジャスコな町にイオンができたのさ 千葉ニュータウンと僕は変化した
失うことで金を手に入れた 変わり果ててく夏休み

26歳の夏休み/神聖かまってちゃん

千葉県印西市にある「千葉ニュータウン」が登場します。街の中にあるイオンも登場する曲です。

歌では、26歳になってニュータウンから巣立っていけない苦悩が描かれます。少しずつ変わる街と、変わらない自分の対比。

ニュータウンは、大人になったら出ていく場所として描かれます。

僕は大学に進学して街を出ました。その後はニュータウンに住むことはなく今に至ります。18歳のときに「もう、この街に住むことはないんだな、ホロリ。」とか感傷的なことは何もなく、フェードアウトしました。

「はい!去りました!」みたいな、はっきりした節目がなかったから、今でも心が実家に残っている気がするんでよね。その結果、ニュータウンウォッチャーになっている気がしてきた。

みんな、実家に対する想いって同じ感じ?


▶ 桔梗が丘/平井堅(2013年)

羽根を休める場所になるため ここだけはあたためていよう

桔梗が丘/平井堅

三重県名張市にある「桔梗が丘」が舞台の曲。平井堅さん自身の故郷で、MVには平井堅さんのお母さまが登場。歌詞も親目線です。

ニュータウンが、帰る場所として描かれています。

今の僕にとってニュータウンは帰る場所、帰省先です。近所に子どもが遊びやすい公園がたくさんあるから、帰省しても外で過ごしやすいのよ。

今年の正月には、近所の公園で小学校の同級生に遭遇しました。同じように子連れで。

30年ぶりだ…!名前も…多分…あいつだ…!多分!

向こうは気づいてなかったのもあり、話しかけはせず。だけど、ニュータウンだからこそ、同じ空間でまた出会った感がありました。


もっとニュータウンの未来を感じたい


時代が変われば、風景は変わる。
ライフステージが変わると、見え方も変わる。

それなのに、ぼくには90年代に暮らしたニュータウンのイメージが、こびりついたままな気がします。

ニュータウンウォッチャーとしては、これからのニュータウンがどうなるのかが気になる。そして、実家周りはいったいどうなるのかが気になる、切実に。

昔のイメージのままじゃなくて、これからの時代にあった、ニュータウンの未来がもっと描けるといいよね。


ニュータウンは日本全国にあります。
きっと、あなたの街のすぐそばにもあるはず。

近所のニュータウン、あなたにどう見えているんだろう。ぜひぜひ教えてください。


場所はないけどおまけの1曲:ニュータウン/パスピエ
ニュータウン開発が、何かを失うことして描かれます。


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