俺たち華のなろう系
実家の自分の部屋を掃除しているともう使わねえだろと思う本だったり小物だったりが出てくる。学生の時の学生証だったりなんだり。学生の時謎にコンドームを交換する文化がありそのコンドームとか。
そんな中、昔のゲームの説明書やら攻略本が出てきた。掃除中に出てくるというのがイヤらしいもんで彼らの登場により、いや掃除をしなければいかん!という気持ちもガバガバ水際対策により呆気なく崩壊するんだが。
昔の攻略本とかは、ここからは君の目で確かめてくれ!というシステムが多かった気がする。今本屋に並んでる攻略本を見ても分厚く完全ガイドなるものになっていて隅から隅までしっかり網羅している。ゲームの発売日と同時に発売していたりする。
それに比べて昔の攻略本は「大丈夫、うちの公式攻略本だよ」と言いながら、ここで詰まって攻略本買ったのに自分で確かめろじゃねーよ!ってなってて6割くらいの攻略しか書いてなかったりする。伏字になっている技も「あれ、これ俺もう覚えてるわ」みたいな事も多くある。攻略本って発売してから少し経って出て、裏話とかちょっとしたおまけとかがついてそれが読みたくて買ってたんだけど、すぐに出るからそういうコンテンツは簡略化されてたりする。
こうなるとたった10年されど10年くらいの間に大きく変わったんだなあと思う。今じゃ名前で調べれば攻略サイトが出て、どこか知らない誰かがデバッグ並みに情報を書いたりしている。発売したばかりのゲームも速攻でルートが作られたりしている。インターネットを知った時はこんなに詳しい人がいるなんてオラおでれぇたぞ!と自然とサイヤ人になったもんだった。
考えればこれは昔よりやり込もうという人が増えたんかもしれんと思うのと同時に、世の中の簡略化が進みまくっているんじゃないかとふと感じた。とにかくすぐに全ての情報を得たい!というのが多くなったのかもしれない。
昨今流行りのなろう系。というジャンル。俺はしっかり見たことはないが、タイトルで大体の想像がついたりするしちょこちょこ知っているものもある。
大抵はニートだった俺がとか、現実では平凡だったがこの異世界では大活躍とか、あとは異世界だけど虐げられてたが実はレベル100とか実は超有能職業でパーティを離れたらそれが判明したりとかで俺何かやっちゃいました的なやつとか。という感じ。
今やでかい本屋ではなろう系ジャンルのみの棚もあってその背表紙を見るとまぁもう遅いもう遅い、小説サイトをみてももう遅いもう遅い。もう遅い中学生。
少し思ったのがこういうお話って、簡略されてる気がする。
言うなれば俺が昔見てた漫画とかは主人公は落ちこぼれやら強くないやらが、修行して強くなって成長してみたいな話が多かった気がする。でも今の話っていうのはいきなり強くてスッキリするみたいなそんなんが増えたなぁとも思う。
映画とかアニメとかをもう1.5倍速などで見る人が増えたように世の中は簡略化が求められているのかもしれない。
なろう系にはそんなスピード感を感じる。
修行とかそんなのは出来るだけ省いて強くてニューゲームでやって行くと。もう世の中はそこまで修行とか苦しいところとかを乗り越えるのを求めていないのかもしれない。コロナの世の中という状況も加味してるのかもしれないし思ったより苦しむものをみたくないのかもしれないと思う。自分が感情移入、作品に自己投影しやすくすぐに活躍するというのが求められているのかもしれん。ちょっと前までは同じ感情移入、自己投影しやすくても少しづつ少しづつみたいなのか多かった気がするけどもだ。俺もできるんだ!みたいななにくそ感をくすぐるのがよくあった気がする。ストレス社会の世の中、素早く、スッキリしたいのかもしれない。とにかく!すぐ!スッキリしたい!もうこんなん抜きゲーやん。修行パートとかしてたらもう遅い!って言われるかもしれない。修行して俺も同じようになれるじゃなくて俺も同じような才能があるんだにすり替わったのかもしれない。作品名を見れば遅い遅いと言い続け俺は勝手に焦っている感じがしてならん。昔は説明書を熟読して膨らませてからいざゲームのスイッチを入れてたが、気づけば電子説明書になってたり簡略化されたチュートリアルで終わったりしてたり自然と様々なものが簡略化されている気がする。
動画とかも上記で言ったように、倍速で見れるところが多数ある。Tverとかも倍速で見れてお得みたいなこと言ってたりするし、そりゃあファスト映画とかのコンテンツも需要があったりするのだろう。とにかく素早く、速さが大事。今の世の中はスピード感が求められているのだ。
だからときメモとかのゲームとかも、もうみんな速攻で主人公に好意を持っていてそこに駆け引きとか一切ないのが流行るかもしれん。よりどりみどり花びらの舞よ。
昔、牧場物語で裏技を使ってすぐに恋愛対象の好感度をマックスにして速攻で結婚をしようとしたらできなかった事があって、恋愛イベントのフラグをしっかり通っていかないと駄目だということを知った時に、やっぱりすべて過程が大事なんだなぁ…と恋愛対象のライバルイベントが起きて、こっちのほうが好感度マックスなのに、そのイベントでライバルと話している楽しそうに話しているヒロインを見てそれを見た時に思った。俺に対してのこの好意はまやかしなんだと。
そうか、これがもう遅いなのか。