街行く人を見て思うこと 2022年1月 マニラ
外の席に座り、街行く人を眺めていた。マニラは今日も快晴である。
この街にもスターバックスはどこにでもある。それと同じかそれ以上に幅を利かせているThe Coffee Bean & Tea Leafという店もあるが、ここのコーヒーは味がシャープでない。薄く、まったりしている。ただ単にスターバックスのコーヒーに舌が慣れているだけなのかもしれないが。
ビールもそうだけど、薄い味の飲み物が好まれるのかもしれない。料理の味が濃いからだろうか。たしかに、フィリピン居酒屋のサンミゲルはすいすい進んでしまう。
まあでもコーヒーに関してはしばらくスターバックスでいいかなと思う。値段もあまり変わらないし。というわけでスターバックスに来た。
というのはまあどうでもいいのだ。
外を見ていて思ったこと。この国の人たちはカバンを持たない。たまにハンドバックを肩にかけた女の子はいるが、みんなとても小さなバッグである。流行りなのだろうか。大きなiPhoneと、財布と、リップとハンカチを入れたらもう何も入らない。
男たち。誰一人何も持ってない。カフェでパソコンをいじる人も、本を読む人すらいない。iPhoneで誰かと電話しているか(とても楽しそうに)、ただボーッとしている。
シンプルなのだ。
リュックを背負っているものなんてましていない。そうなのだ、考えてみれば、こんなに荷物を持って外に出る必要なんてないのだ。
外にいる時間は、自分の内側でなくて外に目を向けるべきなのだ。
という、メッセージを勝手に受けとった。
この国の人たちは休日になるとみんなモールに行く。
同僚のフィリピン人に聞いてみた。みんなモールに何をしに行くのか、そんなに毎週買い物があるのか。
答えは、モールに行くのに目的はない、ということ。なんとなく行ったら楽しいし、知ってる奴に会うかもしれないから、とりあえず行く、のだそうだ。
それとこれとは関係ないかもしれないが、どのモールでも店内案内図(地図)がどこにもない。目的がない人に地図は必要ない。
どこに何があるから歩くではなくて、歩いた先に楽しいことがあればいいなというわけだ。
周りが少し騒がしくなってきたのでヘッドフォンをつけて音楽を聞く。
金ではなく、人生を賭ける、と田我流は歌っている。
私もそんなふうに生きたいとは思う。
日々を悪戯に過ごしていくことが恐ろしいと思う。数年経って振り返った時に、そこに何があるのか、を毎日考えてしまう。
そうして何をするわけでもないのであるが。
何かを生み出そうとか、意味のある1日にしようだとか、そんなことを考えているうちに時間だけが過ぎていく
いろいろなことに手を出したが、結局のところ自分が何を一番好きなのかが、わからなくなっている。
ほんとはもっとシンプルでいいはずなのだ。
自分が一番好きと思えることを、それをしている時間が心から好きだと思えることをまずは一つだけ、本気になってやってみたらいいのではないか。
それ以外のことは、そのあとで考えればいい。ほんとにやりたければ着いてくる。不安はない。
誰かに憧れることも、真似をしてみることも、それはそれで無駄ではないとは思うけれども、まずは一つだけ。
シンプルであることが一番大切なのだと思う。この街の人たちのように。
極限まで複雑化してしまった世界に生きているのだ。自分がシンプルでいないと、全部ただ横を通り過ぎていくだけになってしまう。
何かを見て、聞いて、嗅いで、味わって、触れることで何を自分は感じて何をそこから発するのか、それを真摯に見ていたい思う。
シンプルでいないと、それらは雑音のように、自分に何も落とさずに過ぎ去ってしまう。
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