スポーツ都市宣言でメタボ化した苫小牧市をブッた斬る。
令和6年 (北海道)苫小牧市議会議員への政策提言
今回は選挙公約を提案したいと思います。
苫小牧市(以下、本市)では令和5年第20回統一地方選挙後28名の市会議員が誕生しました。今のところ補選を含めしばらく選挙はなさそうですが、本noteは現在議員の方、あるいは次期議員を目指す方に、本気で市の未来を考えてほしい、そんな思いで提案します。
提言の内容は主に3つです。
1. スポーツ都市宣言の総括をすべき。
2. 北洋大学への関与を中止すべき。
3. 苫小牧港を民営化し「北海道バレー構想」のイニシアチブを取る。
そしてどんな公約をかかげ、どのように選挙活動と議員活動を行っていくかについても提案します。
~苫小牧市の概要~
まず始めに苫小牧市発行の『苫小牧市勢要覧』(2022年10月)をもとに市の様子を見てみましょう。
「ダブルポート」というのは海と空の港を意味します。本市は我が国では数少ない「海と空で世界を結ぶ」拠点の一つ。ここに本市の未来を見たい!
千歳市と接する本市東北部の美沢地域に新千歳飛行場の滑走路があり、航空自衛隊の千歳飛行場の一部敷地も含まれています。しかし、本市にはさらに苫小牧港がある。海上出入貨物量全国第3位の港を持つ本市の方が商業的に優位であると考えられます。このような有利な条件を多数持つ本市は、さらに発展の余地があるはずなのです。
市の人口は17万人弱。「苫小牧市の人口動態 令和4年」を読むと、ずっと右肩下がりで減り続けていますし、都会への流出も超過しており、若年世代を中心に減少していることがわかります。
苫小牧市の事務事業評価を見ると、ふるさと納税事業に8億3124万2726円を使っています。寄付金の額がR.2は6億円弱だったものがR.4には15億円まで増加しており、最も力を入れている事業の一つだとわかります。ふるさと納税を通して地元の産業振興をしたり、地元雇用拡大で若年層の人口流出を抑え、かつ移住を促進したい。これが本市の大目標であることが伺えます。
他には総合戦略推進基金繰入(インターネット情報発信事業)などがあります。駅前イルミネーション事業(1,673万円)、都市再生コンテンツ創出事業(998万円)、市内大学インターンシップ支援事業(747万円)、就職マッチング支援事業(780万円)などさまざまな事業がありますが、どの事務事業評価も自己評価はAばかりなのに目標設定が誤っているのか、若年人口は確実に減り続けていることから、これらの事業が人口増や経済成長において成果を出しているようには見えません。
この駅前イルミネーション事業も自己評価Aなのにも関わらず、人手がイマイチだったため今年度はさらに点灯エリアを拡大して大々的にやるそうです。これでは予算の拡大は止まりそうにありません。
また苫小牧市は公共施設の数が驚くほど多い!17万人都市でこんなにあるの?!と驚きました。
公共施設一覧が長すぎるので、5列に並べて画像を作ってみました。(笑)
画像をクリックすると当該ページへ飛ぶのでぜひご覧になって下さい。
コミュニティセンターも単独の立派な建物ばかりで驚きます。また、後の章でも説明しますが、スポーツ都市だけあってスポーツ施設の数がすごい。温水プール施設は3ヶ所、スケートリンク(主にアイスホッケー)が5ヶ所も!
市民はそんなにアイスホッケーするのでしょうか?
ちなみに筆者の住む街は約50万人の中核市ですが、公共施設はもっと少ないです…。
施設維持管理コストも莫大です。コミュニティセンター指定管理費(3億2,295万円)男女平等参画推進センター指定管理費(2,383万円)など、あげつらってるとキリがないのですが、少子高齢化の時代にハコモノの維持費は負の遺産になりませんか?既存の施設や事業を永続させる意識で予算編成をを続けていると言うことは、人口減で税収が減れば増税するつもりなのでしょうか?
費用対効果の低い施設は今のうちに売却、解体等を進めていくべきです。
こうやって役人に金を渡すと無駄な事業やハコモノにとめどなく浪費されてしまうのは歴史が証明しています。だいたい公務員に事業創造や経営センスがあると思いますか?事業にお金をかけるのは経営と同じで、成長や目標に投資して失敗への損切りを高回転で行わなければ成功しません。時代の変化で廃止や見直すべき事業を何年も放置しては負の遺産が増え、若者が逃げ出すだけではないですか?
役所は予算を増やすのはそろそろ諦めて、減税して市民にお金を返すべきです。自らの権益を手放して自由闊達に生きる市民の生活を応援しましょう。
行政の最優先事項は何か?
今回の能登半島での大地震の発生、自治体の貧弱な防災行政では、被災者は救われません。昨年末に公開された「ゴジラ -1.0」は戦後の焼け野原となった東京が舞台でした。これまで日本海においても地震は多数ありました。しかも阪神の震災、福島の震災を経験しているはずなのに、被災から焼け野原からの復活を遂げるのに大変時間がかかっていますし、直後の対応も点でバラバラの状態。
これは何を意味しているのでしょうか。それは、頭の悪い役人に金を渡すとロクでもないことに使われて、本当に使うべきことに使われない。と言うことです。地方自治体は私たちが収めた税金を湯水のごとく使い、大切な被災対応はおざなりなのです。番外として提案したいのは、苫小牧市は「被災時における対応を明確化し、予算をしっかり配分する」と言うことです。防災備蓄品整備事業、避難行動要支援者支援事業者など、防災事業を従来の形式にとらわれず構築することも必要です。
スポーツ都市宣言を総括しろ!
さて、再度決算書に目を移しましょう。目立つのはスポーツ関連施策に対するもの。主に大会関連への派遣補助金等の数が多いのが目立ちます。これは昭和41年にスポーツ都市宣言おこない、スポーツ施策に力を入れてきた結果でしょう。背景としては社会人アイスホッケーの雄、王子製紙苫小牧工場の王子イーグルス(現在のレッドイーグルス)が市民の誇りとして意識されているからです。かつてはどの小学校でも校庭に水をまきスケートリンクにして、子供も大人もスケートを楽しんでいたそうです。
現在では各種体育大会助成金2,77万円を始め、スポーツ振興費として1億1,490万円(全国・全道スポーツ大会開催運営助成金、各種スポーツ大会遠征費補助金・奨励金、スポーツ合宿等助成金、全国高校選抜アイスホッケー大会補助金、氷上スポーツ育成事業費、全国中学校体育大会卓球大会補助金、国民スポーツ大会冬季大会苫小牧市実行委員会補助金)など、競技スポーツに対する補助金の額がかなり多くなっています。その他各種市内スポーツ施設、リハビリテーションケア合同研究大会開催補助事業費などにもスポーツ都市宣言の影響は見られます。
(以上、『令和4年度各会計決算状況』を参照しました。)
そもそもスポーツ都市宣言ってなんなのでしょう?
補助金の項目を見ていると、苫小牧市が考えるスポーツとは「競技大会に参加する」ことのようです。が、果たして市民にとってのスポーツは大会に出たり勝敗を競うこと?健康維持で行うウォーキングや筋トレはスポーツじゃないの?例えば最近は「チョコザップ」のように気軽に格安で健康増進を図れるサービスが民間で増えてきていますよね。
競技スポーツへの補助金は一部の市民だけを優遇するものであり、税金の使途として適切ではないと思います。くれぐれも言っておきますが、民間がやっていることを真似して市役所がやる必要はありませんからね。各種競技スポーツに使用している予算は思い切ってすべて減税に回しましょう!減税で自由に使えるお金を増やし、市民が健康管理に投資できる環境を整える。あなたが心ある政治家ならば、一部の人を優遇する補助金よりも、市民全員が幸せになる減税を選ぶべきです。
さて、昭和41年にスポーツ都市宣言をした本市。59年間スポーツ振興をして、市の経済はどうなったの?チョコザップみたいなスポーツにイノベーションを起こす人は育ちましたか?実はこれが政策にとって重要な考え方だと思うのです。答えはあなたの中にあります。スポーツ都市宣言が、あなたの生活に豊かさも何のイノベーションも与えていないなら投じた税金は無駄だった、が最終結論と言えます。若年層が出て行っていることがその証明でしょう。
北洋大学への不適切な支出を正せ
苫小牧市には一つだけ大学があります。それが北洋大学です。本市には以前、学校法人駒澤大学傘下の苫小牧駒澤大学がありました。その経営が行き詰ったところを学校法人京都育英館が無償で引き継ぐことになり開学した大学です。中国人留学生を多数受け入れている日本語学校を経営する同法人が、居ぬきで苫小牧に大学進出したのです。令和3年に設置者変更となり、実質的に駒澤大学との縁は切れています。京都育英館は、隣町の白老町にある北海道栄高校の再建の縁で苫小牧駒澤大学との関係ができたと言われています。産経新聞の記事に詳しく書かれています。
北洋大学に関する苫小牧市議会議事録を見てみましょう。令和3年第17回定例会の議事録では「市内唯一の4年制大学を存続させたい」「市民の皆様も4年制大学の火を消したくない」という思いで進出を受け入れているそう。ですがこの少子化時代、地方私立大学の経営は一段と難しくなっています。
北洋大学は国際文化学部のみの単科大学で定員は75名です。しかし3年生、4年生は40人を超えるものの、1年生は12人、2年生は23人と、既定の学生数に達していません。一学年12人って個人塾レベルでは…。コロナの影響で国外(中国)からの入学者が減少したと言い訳していますが、魅力がない大学には当然応募者は集まりません。市の考えについて市議会でのやりとりから見てみましょう。木村司(無所属 新緑 現:木村屋第一商事(株) 代表取締役。昨年4月30日勇退)氏の質問に対する市当局の回答です。
そして市の支援策として次の事業を行っています。「市内大学インターンシップ支援事業」事業費総計962万円。人件費214万円。事業の目的と内容を以下に記します。
ホームページで市内企業に対し次のように広報を行っています。
つまり市内唯一の大学だからと言って、職員を2名常駐させ、さらに学生にバイト代まで出してあげてるのです。学生を市内の企業に就職させるような誘導は行政が市民の血税を使ってやる仕事でしょうか?しかも外国人留学生割合の高い大学です。私には大学への利益供与に見えます。苫小牧市の市民はこの状態が納得できますか?このような事業は即刻中止すべきです。
近年、Fラン大学を中心に経営の悪化した私立大学から自治体に公立化の要請が多数あるようです。政策的に大学と協力関係を深めていたりすると自治体としてや要請を断ることが難しくなるでしょう。中国と関係の深い学校法人である北洋大学とはしっかりと一線を画し、くれぐれも公立化するようなことは認めてはいけません。
北海道バレー構想のイニシアチブを取れ
現在北海道経済企画庁が中心となって「北海道バレー構想」が進められています。千歳市に先進的な半導体開発メーカー、ラピダスメモリー社が進出します。これをきっかけに北海道に半導体産業を中心とした先進技術産業が集中して発展していくという構想です。
ラピダスメモリー社の敷地は千歳市にありますが、本市と接した地域です。本市に拠点をおくという話はないようですが、同社の進出も織り込んだ北海道バレー構想の中では、国際海底ケーブルの分岐点として重要な地点と考えられています。現在はKDDIケーブルシップ社の敷設する海底ネットワークケーブルがわが国周辺沿岸に整備されていますが、北海道の太平洋岸にはまだ敷設されていません。これを苫小牧まで延伸し、将来的には北極圏を使いヨーロッパのケーブルに接続する構想があるということです。本市の議会ではラピダスメモリー社が進出するから今後の未来は明るい、などと他力本願の考えしかありません。市当局も同様です。
苫小牧港は北海道の物流の拠点であると冒頭にも触れました。そして、海外との接点となる重要な施設でもあります。しかしながらこの港湾は縁故資本主義的ムラ社会の象徴とも言うべき、苫小牧港管理組合という地元の議員出身者や産業界の官僚主義的な老害たちが仕切っています。彼らに重要な港のオペレーションを任せたままでは苫小牧港の未来は暗い…としか言いようがありません。
速やかに苫小牧港を民営化し人事を刷新し、各国の港湾に劣らない機能を持たせるべく改革すべきです。まず苫小牧港を、わが国の港でどこも成し遂げられていない、24時間稼働可能な港にすることを大きな目標にしませんか?
国土交通省は京浜港と阪神港などを国内におけるハブ港として位置付けていますが、まったくその機能を達成できていません。東アジアのハブ港は韓国の釜山港が一人勝ちです。国に任せていては永遠に変わらないし、せっかくの好機を逃してしまいます。例えばラピダスメモリー社や出資している企業が独自に港湾管理を行うことがあっても良いのではないでしょうか。
「ゴジラ-1.0」のラストシーンで感動的なシーンがありました。海上でのYUKIKAZEなどによるゴジラ壊滅作戦が失敗すると思われた瞬間、周辺でひそかに待機していた漁船が大挙して押し寄せ、作戦艦を援護したシーンです。軍人官僚たちの頭で描いた自滅覚悟の作戦が民間の若者たちの手で成功へ導かれました。古来、漁業は海戦のための準備であるとされてきたことの本領発揮を感じました。
このような自由で敏速な民間人の動きは決して国や自治体の持ちえないパワーがあります。苫小牧港はムラ社会の長老たちに牛耳られた管理組合に運営を任せていては、北海道バレー構想も諸共自滅に終わるでしょう。
誠実な公約とは何か
計画的な議員活動を提示する
苫小牧市議会議員は28名。2019年の統一地方選挙から定数30を28に減らしました。報酬は月額44万円。年間収入で約745万円です(政務活動費2万5,000円/月を含む)。増額を望む声も出ているようですが、十分な額であると考えます。この費用を有効活用して議員活動を行ってほしいものです。また、議会の録画や質疑内容についても検索機能もある程度整っていますので、ご自身で作成されるHPやブログ、議員活動広報紙に掲載するなど活用の幅があります。
約17万人の市民に対し、チラシを1/4の4万人分を用意するのに年間2回で30万円~35万円を見込んでおけば良いでしょう。こういった議員報酬の使い方を公開することも必要ですし、自分の議員活動を具体的に市民にアピールしましょう。そこで、下記に挙げるような議員活動についてチラシやホームページなどで詳細を公表し、具体的な議員活動のイメージを市民にもってもらうことにしましょう。
■市民との意見を聴く機会を設ける
・3ヶ月に1回、市政報告会を開く。
参考:川崎市議会議員の重冨議員HP
・ 週1回、電話を受け付ける時間を設ける。又はYoutubeライブ、Instaライブなど。
参考:政治家女子48党 浜田議員のYouTubeライブ
【ライブ配信】京都市の高校生と対談
※このように若い住民の方とコミュニケーションを取るのは素晴らしいことだなぁと思います。ぜひご覧になってみてください。
■調査研究のために
リサーチを外部委託する。
書籍購入や研修、講習会への参加による自己研鑽。
■広報費
白黒A4両面チラシなら4万枚印刷で15万円程度。年2回作成すると約30万円。ポスティング業者に依頼すると1枚5円として8万枚では40万円かかります。
議会への質問計画
議員の主な仕事は議会での質問ですね。苫小牧市議会は定例会として2月、6月、9月、12月の年4回議会が開かれますので、質問回数は4回あることになります。議員活動を進めるに当たり、4年間16回の質問の機会を通じてどのように市政に貢献できるかを考え、ゴールに向かって政策実現を考えましょう。市会議員の公約とは、市長を動かし議会、役人を動かすことによってしか成しえません。
まずは本市の場合、既存の事業が多く、前例踏襲主義の予算消化行政となっていることが考えられます。古参議員、地元の有力者、産業界の老害などが幅を利かせていることでしょう。しかし、決算書などから予算の執行状況を確認し実は税金は余っていることを議会で訴えかけるようにしましょう。
無駄な事業を廃止しその予算分をすべて減税に回し、役人がしょーもないことに予算を使わないようにさせるのです。
そのためにこれまで不要な事業を紹介しておきました。
立候補にあたり、公約とすること
最後にまとめとして、大切な選挙チラシや議員活動報告紙に何を書くか、ということを考えてみたいと思います。公約とは言っても市議にできない大風呂敷を広げては嘘になります。政策の最終決定権者は市長にありますので「市長になにをさせるのか」という点から考えていきましょう。
また、これまで筆者が他の自治体候補者のために作った提言もぜひご覧いただけたら嬉しいです。
以上、苫小牧市議会議員、及び立候補予定者に向けた当選に導く戦略を考えてみました。当然立候補者自身のもつ政治に対する思いや、経験などを踏まえた政治活動への考えはあるでしょうが、筆者の自由主義という立場からの公約提言をぜひ取り入れていただき、将来世代のために本気の行政改革へ挑んでほしいです。
税金下げろ、規制をなくせ!の旗印のもと、議員活動を戦って下さい!
最後までお読みくださり、どうもありがとうございます。 頂いたサポートは地方自立ラボの活動費としてありがたく使わせていただきます。