北海道周遊パス旅(07) 無くなるローカル車両から、怪盗列車(?)へ乗り継ぎ。
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浦幌を出て、十勝平野から別れて山奥の峠を越えて厚内に到着したら、本来なら6分停車なのだが、ここで10分近く停車する旨の放送が。聞けば、この次の直別信号場で札幌行上り特急【おおぞら10号】と交換する予定だったが、当方の普通列車が10分以上遅れている為に、この厚内での交換に変更されたと言う。
上り特急列車を優先するために、我が下り普通列車は余計に遅延する。私は気分転換に駅前散策に出た。
駅前に出ると、駅前の山本商店が開いていた。来る度に閉まっていたが、幸運な事に開店に遭遇したので、中に入ってみた。品揃えは少なかったが、レジ前には鮭とばが並んでいた。
「山本商店の鮭とばは旨い」
SNSで見た情報を思い出し、結局自分の土産にと鮭とばを購入した。
列車に戻り、しばらくしたら再び車内放送が流れた。それによると、厚内で交換予定の【おおぞら10号】がエゾシカと接触し現場処理の為に余計に遅延し、この普通列車の発車が遅れるとの事。
北海道入りし、乗車列車の該当ではないが、早速エゾシカの洗礼を受ける羽目になった。どっちにしろ、札幌行【おおぞら10号】が通過しないと、釧路行普通列車が発車しないのは明白なので、再びホームに下車し、撮影に精を出す。
17時を過ぎ、遅延の札幌行【おおぞら10号】が通過し、定刻の36分遅れの17:10に厚内を発車。ここから車窓に太平洋が広がるはずだが、外は真っ暗闇。緯度は高いし日本の東の果てに近いから、夜も早く訪れる。海が見られないのは残念だが、明後日に昼間に通る予定だから、それを楽しみにしよう。本音はキハ40から眺めたかったが。真っ暗闇の車窓を眺めながら、さっき山本商店で買った鮭とばをつまむ。
18:17、定刻より18分遅れで釧路到着。厚内を36分遅れで発車したから、厚内~釧路で18分回復した。根室本線最後のキハ40を楽しめた。根室本線では、もう乗る事は出来ないキハ40に別れを告げた。
駅近くのコンビニで夕食を買い、次は釧網本線網走行に乗り継ぎ。ホームに行けば、2番線には釧網本線用車両【流氷物語号】が花咲線根室行に、3番線には花咲線用車両【Lupin the third・ルパン三世号】が釧網本線網走行になっていた。いや逆じゃないかと内心突っ込みながら網走行のルパン三世列車に乗車した。
この乗車列車は花咲線ルパン三世列車だが、なぜルパン三世なのかと言うと、ルパン三世原作者のモンキー・パンチ氏の故郷が花咲線沿線の浜中町だからだ。昔、私はモンキー・パンチと言う名前から海外の方だと思ったから、日本人でかつ北海道の最果ての出身だと知り驚いた。
そんな花咲線向け車両が釧網本線に入っているのは不思議だが、花咲線も釧網本線も使用車両は同じキハ54系だから、運用ローテーションの都合でこうなったのだろう。前々から気になっていた車両だけに、乗れて嬉しい。
「どちらから来られました?」
車両中央のボックス席に座ると同時に、向かいのボックス席から声がかかった。みれば夫婦だったが、驚いた事にノーマスク。机には缶ビールが数本。
私は直感的に関わったらマズいなぁと感じ、つんけんとんな態度を取った。車内は実質的に密室で至近距離でノーマスクで会話。昨今の世界的な流行り病の最中に、かような態度を取られたら警戒するに決まっている。
18:52発車だが、札幌からの特急【おおぞら7号】が15分遅れで到着し、接続待ちした影響で、8分遅れの19:00に釧路を発車。私はスマホにイヤホンを接続し、毎週聴いているラジオ番組を聴いた。とりあえず、通路向かいの席の夫婦に関わらないようにした。
真っ暗闇の釧路湿原を駆け抜け、塘路に着けば、交換列車が鹿と接触により遅れており、10分停車となった。私は気分転換にホームを散策した。
塘路を出て、ひたすらラジオを聴いた。コンビニで買った夕食を食べたいが、マスクを外した結果での飛沫感染が怖いから、食べる気にはなれない。何しろ近くにノーマスクの夫婦が談笑しているのだから。
乗車している車両だが、やけに座席が豪華だ。どう見ても特急車両の座席、しかもリクライニングもする。実は2010年1月に函館本線で踏切事故に巻き込まれ廃車になった特急車両から流用された座席だ。事故に巻き込まれた特急車両は車体の台枠が歪み修繕不能になったが、座席は十分実用に耐えうるから流用したのだろう。快速と普通しか無い釧網本線なのに、あたかも特急に乗っているような錯覚に陥りそうだ。
知床斜里で例の夫婦が下車し、数人だけを乗せた列車は、22:03に網走到着。今朝函館を発ち、丸1日かかって網走に着いた。
網走に着いた私は、今夜泊まる定宿に向かった。駅前大通りを少し進み、そして網走バス新町車庫の脇を抜け、遮断機や警報器が無い踏切を渡る。そして駅裏手の道を少し進むと、定宿である【民宿ランプ】に着いた。
顔馴染みの宿のヘルパーさんの女性とその息子と挨拶し、そして代金を前払いし部屋へ通されたが、独り旅にしては贅沢な12畳部屋。2日前のネカフェとは比較するのもアレだが、昨日の函館のホテルよりも広い。
先に風呂に入り、身体が暖まった所で、さっき食べ損ねた、釧路のコンビニで調達した、すっかり冷めた夕食を広げたら、なにやらディーゼルカーの音が。窓を開けたら、札幌からの特急【オホーツク3号】の編成が車庫に入るべく、部屋の目の前の線路に入ってきた。
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