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今後の企業発展のカギとなる業務委託
近年、全国的にも副業を解禁する企業も増えております。特に生産人口が減る地方の中小企業の人材不足が問題となっています。その対策として「業務委託」を検討してみるのはいかがでしょうか。副業を希望する方も多くいる現状です。人材不足解消だけではなく、給与や社会保険などの人件費の削減や業務改善にも利点があります。
私は、地方の中小企業で給与計算や労務、勤怠管理をしております。同時に副業もしておりますので双方の経験を踏まえつつ、主に企業の担当者視点で、業務委託が企業に与える影響を解説します。
人材不足解消への影響
上記でも述べたとおり地方での人材不足は深刻になっております。その影響で属人化の問題、人材育成に関する時間や指導者の確保もやっとです。この現状を踏まえ業務委託による人材不足解消への影響をいくつかあげます。
まず、日常的な経理・総務等のバックオフィス業務は、オンライン化を進めることにより比較的業務委託が導入しやすい業務です。日常の細かな仕訳け、伝票の整理は委託をすることにより、負担を減らすことができます。
私も時々感じることがありますが、従業員が少人数規模の企業ですと、経理・労務・現場と1人何役もの業務をこなすことも少なくありません。
少しでも委託に変えることが出来ると、限られた人数でも業務を進めることができます。兼務により、中途半端になってしまうことによるミスも防ぐことができます。
その他にも、専門的な知識を必要とする業務は「業務委託」の導入が効果的です。しっかりした知識を持ち業務を行っていればよいのですが、やはり、勉強から実務までを考えると、従業員の負担は相当なものです。気持ちよく仕事をしてもらうにも従業員の心身的負担はなるべく避けたいものです。
専門家以外でも業務委託を求める方は多くいます。例えば私のように地方に住んで子供が小さい場合には自宅で出来る仕事は大変ありがたいです。私は本業もありながらの副業ですが、ライフワークバランスを考え時間を自由に使えるフリーランスを求める方もたくさんいらっしゃいます。
労務管理の面では、地方企業の多くがタイムカードでの勤怠管理をしているかと思います。時給制の従業員の給与計算はタイムカードのチェックから始まります。特に、時間外になると割増賃金が発生するため、それによる時間と時給の計算も行わなければなりません。有給休暇の管理では、半日単位の取得、タイムカードの照らし合わせもあり、労務についての業務は少なくありません。
勤怠管理の電子化を導入し、労務管理自体も業務委託することが人材不足解消への鍵となります。
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コスト面への影響
「業務委託」の導入は人件費等のコスト面でも効果的です。
特に効果的なものをいくつか挙げていきます。
企業での予算の多くを占める給与ですが、令和6年最低賃金改定で岩手は前年の893円から952円と9円引き上げられました。嬉しいニュースではありましたが、この状況での賃金上昇は自社の販売商品値げの直接的な要因となり、売上数減少等の大きな要因となっています。
その解決策として、「業務委託」では成果都度の支払いですので、業務のムラや繁忙期と閑散期の差もなく、コスト管理も容易なるので、無駄のない方法になります。
業務委託を導入した場合、社会保険の支払いの必要がなくなります。岩手県ですと、健康保険料率が9.63%、介護保険料率1.6%、厚生年金18.3%(3つとも従業員と折半)※1、雇用保険料率は一般事業ですと0.95%※2、他にも、労災の負担もあります。そのため企業は給与の他に約15%の負担が掛かることとなります。従業員の増員・毎年の昇給等によっても負担は増えて行きます。
そのため、業務委託を取り入れることでこれらのコストが削減され、コスト面では業務委託の一番のメリットとも言えます。
※1参考:協会けんぽ岩手支部
※2参考:厚生労働省
さいごに
業務委託は企業にとって多くのメリットがあります。企業にとっては人材不足・コスト面で大きな効果があります。地方企業は生産人口が減っている現状です。少ない人数でどう業務を行うかも今後の経営にとって重要となります。同時に副業や時間を自由に使えるフリーランス人口も増えていますので、双方の需要が高い今だからこそ、業務委託は効果的です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。