短編物語「柴犬のオージー」 第2章: 町への旅立ち
オージーは何か新たな冒険に心引かれ、夕暮れ時に町へと足を運びました。草原を越え、森を抜けると、人々の暮らす音が聞こえてきました。ちょっと緊張しながらも、興奮を隠せずに町の門をくぐったのでした。
町には初めての景色、初めての匂いが広がっていました。そこは何やら遠くから不思議な音楽が聴こえてくるような城下町でした。この城下町を治める殿様は大変人柄がよく、不思議なことが好きでいつも街の人々を楽しませるのが好きなのでした。
しかし、そんな風景もつかの間、突如として子供の泣き声が響き渡りました。「母上、財布がない!」
オージーはその声に反応し、泣いている女の子と母親の方へと駆けつけました。そして、何かを感じ取り、一方の通りへと鼻をかがやかせ走り出しました。
オージーが走り抜けた通りで、風が吹き抜けていく瞬間、不思議なことに母親の財布が風に乗ってオージーの前に落ちてきたのです。
戻って財布を母親と女の子に渡すと、人々が集まってきて拍手を送りました。「なんとも不思議な犬っころだなあ。」と人々は驚きます。
その時、先ほど聞こえていた賑やかな音楽が近付いてくるのでした。よくみると豪華な行列で、それはこの町を治める殿様の行列でした。
行列が一旦停止し、籠の中から殿様が出てきました。「一体何が起きたのか?」と尋ねる殿様に、町の人々が先ほどの出来事を話しました。
殿様はオージーに目を留め、「ほう、この犬には何か特別なものを感じる。何か大きなことが起こる前触れかもしれない。犬公よ、よきにはからえ」と言いました。
オージーはその場で多くの人々と殿様に認められ、使命感を感じるようになりました。まだこの先にどんな冒険が待っているのかわかりませんが、オージー自身、その足で歩む未来にわくわくしていたのでした。