短編物語「柴犬のオージー」 第5章: 使命の終焉と新たな道
そんなある日、町の空に突如として出現した大きな入道雲。その中から再び運の神が光を携えて現れました。「オージー、お前の使命はここで終わりだ。」と運の神は宣言します。
「町に多くの幸運をもたらし、人々は新しい価値に気づき始めた。しかし、その裏では様々な問題も生まれている。使命が終わるということは、これ以上その影響を広げないという意味でもある。」運の神が語ると、オージーは深く頷きました。少し、ほっとする気持ちもありました。
犬の王様と呼ばれるまで振りまいた幸運は予想以上に作用し、町の人々の運命を左右した責任は彼の中でも大きかったのです。
一方で、町の人々もオージーがもたらした影響に気づき始めていました。突然の繁栄がもたらした不条理さ、競争と不正、そして人々の心の中に生まれた妬みや不満。しかし、それと同時に、町の活気や面白さ、新たな可能性もそこには芽吹いていたのでした。
最近外出を控えていた殿様はついに町に出てきて、「犬の王の存在は我々に多くのことを教えてくれた。繁栄だけが全てではなく、どのようにその繁栄を活用するか、そしてその繁栄と人々がどう共存するかが重要だ。」という言葉を町人に投げかけるのでした。
町の人々は、オージーが町にもたらした価値について、改めて考え始めました。賛否は分かれましたが、確かに町は以前とは全く違う新たな局面を迎えていたのです。。
そしてオージー自身は、犬の王様としての使命を終えたと感じ、新たな道を探し始めるのでした。