外部とのデータ連携が進んでいないばかりでなく、今後のデータ連携にも後ろ向きでハードルは高い。
昨年(令和元年)6月、日本公認会計士協会東京会から「第4次産業革命が企業経営に与える影響~先端技術の提供側及び利用側企業における取り組みからの考察~」が公表された。
この研究報告書では、第4次産業革命が企業経営に与える影響を企業へのアンケート調査及び企業などへのインタビューの結果に基づき、コアとなる先端技術の利用側及び提供側企業における取り組みを考察しながら作成している。
なお、コアとなる先端技術の利用側企業として東京証券取引所上場企業の
うち、この研究報告書を作成した日本公認会計士協会東京会の経営委員会で任意抽出した1,500社にアンケートを発送し、回答を得た発送総数の7.00%に当たる105 社の回答をもとに作成されている。
したがって、調査対象となっているのは上場会社だが、中小企業や小規模事業者の動向を考えるにあたり、参考になろう。
この報告書によると、購買プロセスにおいて総ての取引で外部とのデータ連携を実施している企業は87社中1社に過ぎないが、一部の取引で外部とのデータ連携を実施している企業は44社にのぼる。一部のグループ間取引のみデータ連携を実施してしている企業は14社、データ連携未実施の企業は32社だ。
製造プロセスでは総ての取引で外部とのデータ連携を実施している企業は59社中1社もない。一部の取引で外部とのデータ連携を実施している企業は16社、一部のグループ間取引のみデータ連携を実施してしている企業は9社、データ連携未実施の企業は一番多く35社。
販売プロセスでは総ての取引で外部とのデータ連携を実施している企業は85社中2社。一部の取引で外部とのデータ連携を実施している企業は39社、一部のグループ間取引のみデータ連携を実施してしている企業は12社、データ連携未実施の企業は36社。
総てのプロセスにおいて、一部の取引で外部とのデータ連携を実施している企業とデータ連携未実施の企業は拮抗している。
今後のデータ連携については、購買プロセスと販売プロセスで関心はあるが具体的な検討には至っていないとする企業が31社ろ33社と一番多く、検討予定はないとする企業が18社と20社で、合わせると半数を超え、データ連携先の拡大を検討中とする企業の27社、19社を大きく上回る。
製造プロセスでは関心はあるが具体的な検討には至っていないとする企業が21社、検討予定はないとする企業が22社で、こちらもデータ連携先の拡大を検討中の7社を大きく上回っている。
この報告書の調査対象は一定規模以上のいわゆる大企業と考えられるが、データ連携が進んでいないばかりでなく、今後のデータ連携にも後ろ向きであることが明らかになった。中小企業や小規模事業者であればなおさらであろう。
このような状況の下、中小企業や小規模事業者の業務の効率性と有効性を高め、生産性の向上を図るべく、EDI(電子データ交換)を、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するにはどうしたらよいだろうか?
ハードルは高い。