目指すところはビジネスチェーンの全体でデータ連携を可能にするDX
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)は中小企業の受発注業務のIT化に重点をおくものであるが、消費税の適格請求書等保存方式の導入やwithコロナ/afterコロナ時代の経営を考えると、単なる受発注業務のIT化では不十分だ。
EDIと会計ソフトが一気通貫でつながっていることはもちろん、基幹業務システムとも連携している必要がある。
withコロナ/afterコロナの時代において、中小企業や小規模事業者が事業の有効性と効率性を向上させ、生産性を上げるためにはDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むことが必須である。それも特定の業務プロセスに限定してDXに取り組むのではなく、企業や事業体全体の業務プロセスを対象としてDXを考えなければならない。
そこでは貴重で希少な経営資源である『ヒト』の再配分を意識し、IT化により徹底して省力化を行う業務プロセスと、人的資源を集中して『ヒト』の『知』を徹底的に活用する業務プロセスとに峻別することが必要である。
このような峻別を行ったうえで、徹底した省力化を目指すためのDXの導入の視点と、『ヒト』の能力を引き出し、『ヒト』の活動をサポートするためのDXの導入の視点から、DXを考えるのである。
これまで業務プロセスのIT化は、組織内部の業務プロセスのIT化と、組織外部とのコミュニケーションに関する業務プロセスのIT化が分離されて考察されてきた。
しかし、これからのwithコロナ/afterコロナのビジネス環境においては、そのような断絶したIT化は意味がない。
目指すところの最終的な理想形は、次のようなビジネスチェーンモデルの①素材生産者から⑥小売商のすべて組織内外のプロセス、そして⑥小売商による⑦消費者に対する販売プロセスにいたるまで、ビジネスチェーンの全体でデータ連携を可能にするDXである。
①素材生産者=>②素材メーカー=>③部品メーカー=>④メーカー=>⑤卸売商=>⑥小売商=>⑦消費者
そのためには個々の事業者や業界単位で独自でDXに取り組むのではなく、広い視野を持って事業体、業界、社会全体が融合し、一致団結してDXに取り組まなければならない。