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「オオカミと七匹の子ヤギ③」【ショートショート/140字小説のリライト】
オオカミは次々と子ヤギたちを丸呑みにしていく。喉を鳴らし、ごくりと。最後の一匹を呑み込んだとき、家の戸が叩かれた。最近、この辺りで獲物を物色しているコヨーテだ。
「よぉ。この家にいきのいい子ヤギが住んでいると聞いたんだが」
「今さら来たって遅いよ」オオカミは膨れ上がったお腹をなでる。「俺がもう全部食っちまった」
コヨーテが舌打ちをして去ると、オオカミはハサミで自らのお腹をジョキンと切った。すると、傷ひとつない元気な子ヤギたちがオオカミのお腹から飛び出してきた。
痛みをこらえ、オオカミは微笑む。「お前たちは俺が守る」
※かつてのTwitterで投稿していた140字小説。140字以内はけっこう難しく、なくなくカットした箇所もかなり……。字数を気にせずにリライトした過去作をnoteにあげていってます。