【対談】私たちの野望について
今回は、LMIグループの経営陣が思い描く「今後の野望」がテーマです。
代表の永井と副社長の望田は今、どんな未来を見据えているのか?
目指す高みと、その実現までのプロセスについて、2人で熱く語り合いました。
グループ売上1兆円、その先に見えるもの
望田 永井とは定期的に「LMIグループを将来どんなふうにしていきたいか」ということについて話し合っていて、その中でおぼろげながら“野望”みたいなものが見えてきました。
それが、グループの売上をできるだけ早く1兆円にしたい、ということ。
もともと「2人で日本の経済を変えてやろうぜ」くらいの気持ちが原点にあるわけですけど、今はまだ、そこまではうまく思い描けていません。でも、売上1兆円の会社を経営しているとなれば、見える世界が変わってくるはずだし、国に対しても影響力があるような存在になれるような気がする。だから、そこに行くためにまず1兆円という数字を達成したいなと思うんです。
永井 ゴールではなく「あくまでプロセスとしての目標」ですね。なんとか40代のうちに、あと10年ちょっとの間に売上1兆円規模まで持っていきたい。その先に、私たちの経営者人生を何に使うのかが見えてくるんだと思います。
望田 日本の上場企業が約4000社あるなかで売上1兆円の企業は180社くらいなので、上場企業のトップ層5%に該当します。日本の全企業(約370万社)の中で考えると0.005%。それだけの会社になれれば、世界が変わりますよね。
永井 ただ、1兆円となると、現在のLMIグループが参入している市場だけでは絶対的に足りません。今のマーケットを全部取れたとしても数百億円規模でしょう。だから、1兆円を頂とする山を、登っていく方法を私たちは考えないといけない。
一方で、この産業を攻めるんだと決めきってしまうべきではない、という思いもあります。変化が目まぐるしい時代なので、いつ、どんな成長市場が現れるか分かりません。ブレない目標とか、信じた道をひたすら突き進むとか、カッコいい美学のように語られがちですけど、少なくとも市場選択に関して言えば、一つに固執することは新しい大きなトレンドを逃すことにつながりかねない。
望田 特定の業種に今からベットするべきでない、という点は私も同感です。1兆円という山の登り方として一つ言えることとしては、M&Aが絶対的に必要だということ。「この業界の企業じゃないと買わない」と凝り固まるのではなくて、市場に出てきた案件に対して、その都度適正に評価しつつ柔軟に判断していくことが重要ですよね。
もう一つ必要なのは、永井と私が「売上1兆円を目指すんだ」と常に意識して日々行動しなければいけないということ。意識していないと到達できるような数字ではないですから。しかも、「あと10年ちょっとある」というような悠長な考えでいてはいけない。2011年に東日本大震災が起き、2020年からはコロナ禍に見舞われたように、有事の時期が来る可能性がある。それも織り込んだうえで、5~6年で達成するくらいの気持ちでいないといけないと思います。
経営陣として成すべきことに注力する
望田 それくらいの時間軸で考えると、経営陣としてのリソース配分もおのずと見えてきます。すでに登り始めている山の攻略に対しては2割くらいで、残りの8割は、隣の山や全然違うところにある山に目をやって、登る価値があるのか、価値があるとしたらどうやって登るのかを考えるべきだと思う。
永井 たしかに。既存事業に対して2割しかリソースを使えない、という考え方をするといいかもしれない。制約されていることで、打ち手も変わってきますから。例えばどこかと業務提携をするとか、より効率的に大きな結果を出せる施策を導き出せるようになる。
望田 逆に言えば、既存事業に関しては私たちがいなくても、事業責任者を筆頭に社員の皆さんが回してくれている。だからこそ、私たちは私たちにしかできないことに時間を使うべき。M&Aはその一つで、良い案件が市場に出たときに迅速に対応できるような準備を常に進めておく必要がありますね。
永井 そうですね、今からでもやっておけることはたくさんあると思う。ただ、M&Aはあくまでも手段。より重要なのは、世の中のメガトレンドをしっかり抑えることだと思います。
Netflixだって、ビジネスの原理はレンタルビデオ店と同じですけど、「これからはインターネット配信が主流になる」というトレンドを明確につかめたからこそ勝てたという要素は大きい。今、大きく勝てているプレイヤーはみんな同じですよね。
他の人よりも早く気づくこと、それに合わせて自分たちが進むべき方向をしっかり見定めることができれば、当社も一気に拡大するチャンスをつかめると思います。M&Aをするにしても、そういう視点を持っておくことがすごく大事。
望田 いくら規模が大きいといっても、市場自体が縮小に向かっていると難しいですからね。私たちとしては、もちろん業界としての成長性は重要ですが、その企業がもつアセットの中に“隠れた原石”があるかどうかを見極めたいと思っています。他の人は気づいていないけれども、磨き方次第、使い方次第で、大きな価値が出せるかもしれないような“原石”です。それをテコにして企業の姿を生まれ変わらせていく。まさにLMIの概念そのものです。
社員の「守り」があってこそ
望田 売上1兆円を目指すことは、社員の皆さんにとってシンプルに良いことだと思うんです。もちろん赤字ではダメですけど、売上が伸びると、新しい人がやってきて、オフィスも広くなり、新しい仕事にチャレンジする機会も増えていく。そういう環境に身を置けることはワクワクするし、モチベーションも上がると思う。
「売上を伸ばすこと」より「利益が増えること」のほうが大事であるという考え方をする企業もありますが、きっとそれはあまり楽しくないのかな、と。
永井 それについて言うと、最近よく思うことがあります。昨今、GAFAのような巨大IT企業に対して、日米欧で規制をかける動きが出ていますよね。企業が国のルールをも変えてしまうような存在、つまり企業というよりも、国と匹敵する存在になっている。
望田はよく、たとえ話として「国をつくるんだ」と言いますが、売上1兆円企業をつくるということは本当に国をつくるようなものなんだと思います。もしかしたら、実際にどこかの国を変えるような影響力を持つことになるかもしれません。それくらい大きなことができるのが規模の強さ。社員の目線に立つと、就職する会社を選ぶ=自分が所属する国を選ぶ、というイメージに近づいていくのかなとも思います。
望田 LMIグループに所属していることを誇りに思ってもらえるような企業になれるといいですよね。売上1兆円を目指すうえで社員の皆さんにお願いしたいのは「守り」の部分。今ある事業に対して、それぞれが任された仕事に全力で取り組みつつ、その山を着実に大きく育てていってほしい。新しい規模拡大に向けた「攻め」の勢いを持ちながら、その領域を大きくしていく「守り」の強さで確実に成長していけたらと思います。
永井 だからこそ、私たちは、大きく育ちようがない山を引き渡してはいけない。できる限り成長可能性が高い山を見つけ出してくるので、メンバーたちにはそれを守り、育んでほしい。役職やレイヤーによって任されるものは違ってきますが、全員がプロフェッショナルとしてより高みを目指していけたらと思います。
望田 特に永井や私はガンガン攻めていくタイプの経営者なので、後方支援をしてもらえるとありがたいですね。
永井 そこで大事になってくるのが信頼関係だと思います。誰にでも失敗することはありますが、「あの人が失敗したなら、誰がやってもうまくいかないだろう」と思えるくらいの信頼がある組織をつくること。それが売上1兆円という野望を成し遂げるためには必要なのだと思います。