#10 【M&Aについて私たちが考えていること】M&Aを行う上で何を重視するか
今回のテーマは「M&A」。
どんな企業と、どんな未来を目指していくのか。
LMIグループの一員になることで、どんな変化が起こりうるのか。
代表取締役社長の永井と取締役副社長 共同創業者の望田による対談をお送りします。
M&Aを行う上で何を重視するか
LMIという考え方に共感していただけるか
永井 まずは、当社がM&Aを行う際に何を最も大事にしているか、というところから話を始めるのがよいかと思います。それはやはり、レガシー・マーケット・イノベーション(LMI)という考え方に対していかに共感していただけるか、という点に尽きるでしょう。
LMIは、まだ見出されていない価値を見出し、ビジネスとして社会に実装することで、世界に新たなイノベーションを生み出し続けることを目指しています。これを当社のコーポレート・パーパスとして、下記のように落とし込んでいます。
こうした取り組みに共感し、仲間となっていただけるかどうか。
まずはその点がM&Aを進めるうえでの大前提となります。
望田 私たちからの視点としては、「まだ見出されていない価値」を持っている企業を探し出すことが第一歩です。
もちろん、多くの企業が自社の価値を様々に謳っているとは思いますが、そう言っているだけで中身を伴っていないものにはあまり心が動きません。
そこで示されている価値が、具体的な商品やサービスに落とし込まれ、社会に実装されることで、現実世界に何らかの変化をもたらす。そうしたポテンシャルにこそ興味をそそられます。
企業風土や価値観がマッチしているか
望田 それに加えて、企業のスタイルも重要ですね。
私たちは「世界を変えたい」と本気で考えているような集団なので、そうした“志”を共有していただけるかどうか。
“志”の実現のために、現状を変えていくことに躊躇なく取り組んでいただけるかどうか。
「安定しているし、今のままがいい」というスタンスの方々にはフィットしづらいかもしれません。変化を楽しめるマインドを持っている方々と手を組ませていただく機会があればと思います。
永井 単に「お金儲けがしたい」というなら、その手段がLMIである必要はありませんからね。
M&Aを実施した場合、必ずPMI(経営統合作業)というプロセスを経ることになりますが、企業風土や価値観が一致していないと、やはり一緒に夢を見るのは難しいのかなと思います。私たちとしては、小手先の利益追求に走るのではなく、本質的に物事を考えようとする姿勢を大事にしているので、
同じようなスタンスの企業にグループに加わっていただきたい思いがあります。
望田 LMIの特徴としてよく言われることを3つ挙げると、1つ目は「変化が多い」。例えば社内の組織もそうですけど、どんどん変わっていく。
2つ目は「速い」。そして3つ目が「フラット」です。新たにLMIグループの一員になる企業に対して「この色に染まれ」と言うつもりは全くありませんが、こうした企業風土になっていくんだなということを、ある程度は理解しておいていただくのがいいかもしれません。
望田 「変化はしていきたいんだけど、1人でこれ以上の変化をつくりだしていくことに限界を感じている」といった悩みを持つ経営者の方は、実は少なくないと思います。そういうケースにこそ、LMIグループとのM&Aは有効な選択肢となり得るのではないでしょうか。
当社とタッグを組む価値が非常に大きくなる可能性があると感じます。
自社の経験から見るM&A
M&Aを通じて得られるメリット
望田 そもそも代表の永井自身、かつてそういう状況に置かれていた経験がありますよね。1人で頑張ってきたけど、これ以上はにっちもさっちも行かないな、という……。
永井 LMIの前身の看板工事会社(クレスト)だった時代ですね。社内の様々なシステム、ビジネスモデル、商流と、変えなかったものはないというくらいに変えました。それでも行き詰まった末に、私の場合は望田に助けを求めたわけです。そのときはたまたま友人に頼るという方法でしたが、各々の経営者が置かれている立場や状況によって、いろいろな道があるはずです。M&Aも、自分1人では限界を感じたときに考慮すべき選択肢の一つに当然入ってきますよね。
望田 考えてみれば、当社が現在の体制になったプロセスは、クレストがLMIに買収される形のM&Aだったという見方もできると思います。
以前の会社は、群馬県にある、昔ながらの看板工事会社でしたが、永井が先代から経営を引き継いで以降、社の体質は一変しました。看板を売るのではなく、店舗の内装やウインドウディスプレイを扱うようになり、下請け・孫請けから直営業に変えた。セールスフォースやMA(マーケティング・オートメーション)といったITツールもどんどん導入し、社員それぞれにiPhoneを配りました。もちろん、人材の入れ替えも自然と起きていきました。その結果、永井が代表になってからの5年間で売上が3倍になった。
“キラキラ”とは対極にあるような地味な会社が一気に成長企業に生まれ変わる、まさにLMIの好例です。M&Aを通じて当社のグループに加わる意義やメリットが、このケースからよく分かるのではないでしょうか。
M&A後に変わること・変わらないこと
永井 会社が変革を遂げていく過程で、先ほどは「変えなかったものはないというくらいに変えた」と申し上げました。ただ、変えなかったものもあります。
それは、私たちがフィールドとしているのは「空間ビジネスである」という点です。ビジネスの、まさに根幹の部分は変えていないんです。
看板屋とは「人流をコントロールするビジネス」という言い方もできます。街行く人は、看板を見て右に行くか左に行くかを決めますよね。外国に行って言葉が分からなくても、そこに描かれた絵やマークを見ることによってその先に何があるかを知ることができる。場所や時代を問わず人の行動をコントロールするのが看板である、と言えるわけです。
私たちがレガシーと表現している「まだ見出されていない価値」が、まさにそれなんです。私たちは、看板をただの看板と捉えるのではなく、人流をコントロールするものと捉えることで、実はそこに大きな価値があるのだということを見出しました。そして、空間ビジネスとして捉え直すことによって、看板の制作や設置に留まらない新たなビジネスへと拡大してきました。
望田 ある企業がLMIグループに加わった場合に真っ先に行われるのも、そうしたレガシーを見つめなおすような作業になるのかなと思います。もちろん、私たちはそこに着目したうえでM&Aのご提案を行いますが、実際にグループの一員になってからはその価値をより鮮明に言語化し、社内外に向けてしっかりと打ち出していくことになります。やっぱり、磨かれないとダイヤモンドにはなりませんから。しっかりと磨いて、市場や顧客から評価されるものにしていきます。
また、その価値をより強力に発揮させるうえで、データやデジタルといったテクノロジーとの掛け合わせも行われる可能性が高い。私たちはデジタルが絶対だと言いたいわけでは決してなく、今の世の中においてはそれが一番適した手段だと考えているので、そういう方向性を打ち出しているに過ぎません。そこは時代の変化とともに柔軟に変えていきます。
そのほかには、社内のコミュニケーションも大きく変わるかもしれません。旧来型の企業では往々にして上下関係が強かったり、組織がタコツボ化していたりするものですが、それに比べて当社はかなりフラットです。役職や部署に関係なく密にコミュニケーションを取ること、可能な限り情報を共有することを徹底していますし、そういうコミュニケーションが可能な仕組みも構築しています。“チャット文化”というと軽く聞こえてしまうかもしれませんが、本当に気軽に言葉をやりとりできるような環境を用意しているんです。
永井 今、望田が申し上げてきた内容は「7S」のフレームワークで整理できるのかもしれません。
同じグループになるということは「共通の価値観(Shared Value)」を持つということ。それに伴って、「システム(System)」や「スタイル(Style)」などなど、周辺にある全ての要素もおのずと変わっていくことになるのかなと思いますね。