【SDGs-Workshop第4回】自社の活動と社会課題を結びつける「SDGsマッピング」!未来の可能性を広げる現状分析の手法とは?
ラバブルマーケティンググループのSDGs推進プロジェクト、第4回ワークショップを、8月17日に開催いたしました。
今回のテーマは、「SDGsマッピング(現状分析)」!!
「SDGsマッピング」とは、自社の活動とSDGsを結びつけて整理することです💡
幅広い活動において、よく考えてみると社会課題とつながる可能性が潜んでいるものなのかもしれません😳
コア事業から、ちょっとした社内の取組みまで、現状の活動を漏れなく棚卸しして、それらがどのように社会課題解決につながり得るのか、マッピングしてみると…
その先に新しい可能性がむくむくと湧き上がってくるような、「自社と世界の新しい見方」を皆で作り上げることができました!!
現状分析は、大きく分けて2段階のマッピング手法で行いました。
どんな企業でも、一度取り組んでみる価値があるように思いますので、手順も含めて、ご紹介いたします💡
【1】現状の全ての活動をSDGsと結びつけて棚卸しする「SDGsマッピング」
第4回では、具体的な議論をしていくために少し人数を絞り、
各事業責任者と、「ステートメント策定」を担当する社長室(広報)、ラバブルマーケティング推進室のメンバー、計11名が参加しました。
まずは、次の手順で、現状の自社の活動(既存事業、社内制度、その他の取組み)が、どのような社会課題解決につながるのか整理しました📝
Step1: (事前準備)SDGsの17の目標と169のターゲットを読み込む
ビジネス・イノベーションで、社会課題解決を図るSDGs推進企業にとっては、まず、社会課題について理解を深めることが必須のファーストステップです!(→第2回ワークショップ 参照)
具体的には、「SDGsの17の目標と169のターゲット」をしっかり読み込むことが大事なので、参加者には、事前に読み込んできてもらいました。
…が、169もの項目があるので、正直、ただなんとなく眺めていても、なかなか頭に入ってこないかもしれません😵
「自社の活動に関連するものをピックアップする」意識で読むことで、169のターゲットとその達成指標をしっかりインプットすることができ、自分ゴト化の大切さを改めて実感しました。
Step2: 自社の活動とSDGsを結びつけてワークシートに記入
当日は、次のようなワークシートに則って、現状の自社の活動(既存事業、社内制度、その他の取組み)の中で、それらがどのような社会課題解決につながりそうかといった観点で自社の活動を全て棚卸し整理しました。
アドバイザーの眞鍋先生からは、次のように手順を示して頂きました💡
●人と重なっても良いので、知っている取組みを全て書き出す
●社内の小さな取組みも含めて、漏れなく書き出す
●未来のことではなく、まずは現在既に取組んでいることだけを棚卸しする
●アセット/ソリューションを埋めることより、まずは漏れなく取組みを挙げることが最優先(量を出すことが大事)
約30分、各自黙々と作業をして、1人5〜7枚×11名分のシートが出来上がりました。
Step3: 皆で議論しながら、統合・精査し、ワークシートを清書する
テーブルから溢れんばかりのワークシートを並べ、内容が近しいものを集めながら、皆で眺めてみると…
同じ事業や社内制度でも、人によって焦点の当て方が違っていて、何重にも社会課題とつながり得るという発見がありました。
大きく、「事業」関連と、「社内制度」関連の取組みに分けられたので、2つのグループに分かれて、それぞれ議論しながら、内容を精査し、清書をしていきました。
当グループの事業を例に、「デジタル化」に関する活動と、社会課題の結びつけ方を一部ご紹介します💡
ITの利活用により、市場を変革し、人々の生活をより良い方向へと導いていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の文脈で、共通して当てはまりやすい例かと思います。
●SNSマーケティング事業(株式会社コムニコ):
企業のSNS公式アカウントの運用を支援する事業では、紙の販促物(DMや製品カタログ等)の一部をデジタルコンテンツへ置き換える取り組みが考えられます。
広告・マーケティング活動における紙の使用量を減らすことは、「一人当たりのGDP当たりの天然資源消費量の削減(8.4, 12.2)」や「森林減少の阻止(15.2)」といったゴールに貢献し得ると思います。
●マーケティングオートメーション事業(株式会社24-7):
SalesforceやHubSpotなどのマーケティングオートメーション(MA)・CRM・SFAの導入・運用支援をする事業では、デジタル上の購買プロセスを見える化し、お客様のマーケティング〜営業活動の効率化を支援しています。
大規模イベントでの名刺集めや訪問営業といった「人の移動」を伴う活動の一部を、デジタルに置き換える取り組みが考えられるため、「付加価値の単位当たりのCO2排出量の削減(9.4)」への貢献も考えられます。
*先に挙げたように、紙のDMなどをデジタルコンテンツに置き換える側面もあります。
(*図の出処:総務省)
ここに挙げたのは一部の汎用化しやすい例ですが、この整理だけでも「地球に優しい広告・マーケティング活動とは?」というテーマでアイデアが膨らみそうです。
Step4: アセット&ソリューションを精査
このワークで1番難しかったのは、現状の活動ごとに「アセット(資産・強み)」と「ソリューション(ノウハウ)」を整理すること💦
上図はあくまで一例で、当グループの場合は、アセット(資産・強み)に「SNSマーケティング ノウハウ」「デジタルコンテンツ制作 ノウハウ」など、ノウハウが挙がるケースが多くなり、ここは業種業態によって大きく異なる部分だと思います。
こうして、現状の活動(事業、社内制度)の棚卸し作業が完了しました✨
【2】現状のアセットをどう活かせているか再整理する「SDGsアセットマッピング」
続いて、第2段階では、軸を変えて再整理!
今度は「SDGsアセットマッピング」というフレームを使い、
・横軸に自社のアセット(資産・強み)
・縦軸にSDGsの1〜17の目標
をおき、クロスするところに現状の取組みを転記していきます。
大きな模造紙をテーブルいっぱいに広げて…
第1段階で作成したワークシートの内容を、新しいフレームに沿って転記していきます。
テーブルにはおさまりきらず、床にも…😆
この再整理の過程で、抜け漏れを発見したり、もう一度169のターゲットを熟読しながら位置付けを再検討したり…と、更に一段、考えを深めることができました。
面白かったのは、先ほど整理したことを軸を変えて転記しただけなのに、見え方がガラリと変わるということ💡
「現状、自社にあるアセット(資産・強み)を、社会課題解決のために、どのように活かせているのか」が一覧できるようになると、自社と世界について新しい見方ができるようになります。
そしてそれは、「もっとこんな活かし方もできるのでは?」という未来のアイデアが、自ずと湧き上がってくるような見方で、可能性が広がっていくワクワク感を感じました。
こうして、「現状の全アセット(資産・強み)―社会課題―現状の全取組み(事業・社内制度)」を一覧できるよう整理した「SDGsアセットマッピング(現状分析)」が完成しました✨
一連の流れを、動画でもまとめています↓🎥✨
「SDGsアセットマッピング」をもとに、全社員参加型で未来を構想する
この「SDGsアセットマッピング(現状分析)」を、オフィスのスペースに大きく展示し、これをもとに全社員からアイデア・意見を集うことにしました!
今あるものは、あくまで現状整理であり、未来への「意志」はまだ含まれていません。
これをもとに、次のようなアイデアを書き込んで、未来の構想を膨らませていきます。
・このアセットを使って、もっとこんなこともできるのでは?すべきでは?したい!
・このゴールに関連して、もっとこんなこともできるのでは?すべきでは?したい!
未来を構想するにあたっては、第2回ワークショップで学んだように、現状のアセットに引っ張られずに、足りない部分は他社と協調しながら実現していく可能性も含めて、現状の外のゴール(社会課題)から大きく発想していきたいと思います。
また、第3回ワークショップで学んだ「1人1人の思いを大切に、多様なものを多様なまま活かす共創的な対話」を、全社(グループ5社)横断的に実践したいと思っています!!
【学び】自社の活動と結びつけることで初めて見えてくる景色
今回のワークショップは、未来の可能性を広げる土台づくりになったように思います。
まず、SDGsの17の目標だけでなく、具体的な「169のターゲットと指標」についてもじっくり読み込み、自社の活動とのつながりを考えていくことで、
「自分ゴトとして、SDGsについての理解を一段深める」ことができました。
例えば、整理していく過程で、次のような重要な疑問・質問が出てきました。
●「第2回ワークショップで、現状のアセットから発想するのではなく、社会課題から発想することが重要だと学びましたが、現状のアセットから整理する意図は何ですか?」
→169のターゲットをしっかり読み込み、地に足のついた議論をすることで、「SDGsウォッシュ(表面的に結びつけを行い、実態が伴っていないビジネス)」を避ける狙いがあります。あえて一度、現状に即して、SDGsへの理解を深めた後に、次のワークショップではこれまでの前提を外した未来志向の議論もしていきます。また、「SDGsステートメント」には、未来のゴールと共に現在位置を示すこともあり、いずれにしても現状理解は必要です。
●「現状の活動を“事業”と“社内制度”に分けて整理しましたが、事業と、社内の取組み(制度)とでは、レバレッジのかかり方が違うので、イノベーションを志向するなら事業側を主軸に考えるべきでしょうか?」
→SDGsでは、「本業を通じた社会課題解決」を志向するので、その意味では事業が主軸になります。ただ、その事業を支える制度やカルチャーをつくる取組みがあると思うので、事業と制度を関連づけて、マテリアリティ(重要課題、優先順位)を整理していくことになります。
●「収益の一部を寄付するとか、労働時間の何割かをSDGsに使いましょう、ということにすれば、どれも当てはまり得るけれど、そういう考え方ではないんですよね?」
→SDGsでは、解決すべき課題が記されたイノベーションMAP、潜在マーケットMAPと捉えて、しっかりとビジネスで活かしなさい、という思想があるので、「事業が拡大すればするほど、社会課題が解決される」と、事業拡大と社会課題解決をしっかり結びつけることが原則になります。
また、今回の成果物である「SDGsアセットマッピング」自体に、未来の可能性を広げる土台としての威力を感じました。
現状の活動が、何重にも社会課題とつながり得ることが明らかになり、
現状の「自社と世界の関係性」が一目瞭然になると、自ずとその先を描きたくなり、アイデアやエネルギーが溢れてくるようでした。
それを全社にオープンにして問いかけることで、どのような広がりが出てくるか、この先の展開がとても楽しみです♪
出席者からは、次のような感想が寄せられました。
長谷川(コムニコ 取締役COO): これまでに行ったことがない整理・分析の仕方だったので、自社の資産・強みがどのような社会課題解決につながり得るのか、新しい視点が得られて面白かったです。
本門(一般社団法人SNSエキスパート協会 理事): こうして現状を整理すると、空欄のところにどんどん新しいアイデアを書き込みたくなり、未来の可能性を発想するエネルギーが湧いてきました。新しい事業のヒントにもなりそうで、次回が楽しみです。
増子(ラバブルマーケティンググループ 社長室 広報PR担当): 今回のワークはとても難しかったです。これまで広報として、自社の強みを表現してきましたが、SDGsの文脈で捉え直すことで考えが深まったので、今後の広報業務にも活かしていきたいと思います。
林(ラバブルマーケティンググループ 代表取締役社長): SDGsの17の目標と169のターゲットについては、公開されているものをただ読めば良い話のようで、実際は、ただ読むだけではダメですね。こうしたワークで、自分たちの事業との関連性を検討することで、格段に理解が深まり、自分ゴト化の大切さを改めて実感しました。
ワークの流れも興味深く、X軸とY軸を置き換えるように転記することで、見えなかったものが見えてくるのが面白かったです。
代表として、僕が議論の方向づけを行ってしまわないように気をつけて、皆で対話をする機会を大切にしたいと思います。
今回作成した「SDGsアセットマッピング」を活かし、次回はいよいよ未来の可能性を検討する「フューチャー・マッピング」と「マテリアリティ(重要課題)の検討」を進めて参ります。
※このnoteでは、「SDGsステートメント」策定までの全6回のワークショップの過程を全てオープンに発信していきます。SDGsへの取組みにご関心をお持ちの方へ、ご参考になることがあれば幸いです。
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