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ひげひろ 感想 出会いと別れの切なさと愛しさの物語
「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」
これは沙優が独り立ちしていく成長の物語だと思っていたけれど、アニメ最終回を見終わった時には別のものに見えて「突然の出会いと非日常、そして別れ」に思えた。
吉田さんと沙優の偶然の出会いから始まった風変わりな日常、そして差し迫る別れの時...。
別れ際を力強く見送ったけれど、再び始まる普通の忙しないけど退屈な日常にはすっぽり穴が空いたような寂寥があって。だけど、あの不思議で掛け替えのないひと時がちゃんと存在していたことを確かめる想い出がその穴を埋めてくれる。
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自分の全てだったものを失っても、周りを取り巻く日常の普段と変わらず回り続ける切なさと空白感。喪失感を埋めようと涙が溢れるのはつらいけど、終わりの定められている夏休みに抱くような愛しさもある。
以上は主に吉田さんの視点からの印象だけど、沙優の視点からしても大人でも子どもでもないような期間、足掻いて葛藤して1歩進んで1歩戻ってを繰り返す中で辿り着いた共同生活に抱いたものは吉田さんと似通ったものであったと思う。
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最近見た作品だと「天空のメソッド」だったり、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」も同じ雰囲気を纏っている印象を感じる。
既に揃えてあるノベルを読んだらまた違う見え方がするのかもしれないけど。