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カワノナリタチ 1

1,ユラギカゼ

僕は、風。
みんな、僕をユラギカゼって呼んでる。
僕はまだ生まれたばかりの子供で、ずっと風仲間と旅をしている。
空にいると一所(ひとところ)にとどまれない僕は、たまに地上に降りる。

僕はお祭りが好きなんだ。
青空の広がるそこは、あちらこちらで祭りの最中だ。
ずっとずっと空はお天気で、ずっとお祭りが続いている。
僕はしばらくここでお祭りを楽しむことにした。

ほら、今日もお祭りの音がする。
楽しそうな人間を見ると、嬉しくて降りて行く。

僕は、人間が好きだ。

人間が集まってお祭りをしていると、友達と一緒に降りて行き、ゆっくり上空を回りながら眺めている。
手を取り合ってダンスして、口づけして恋をしている。
きれいだ。
ぴかぴかしている。

あれ?!ここには小さな人間が増えている。
きっと、恋がいっぱいなんだ。

恋すると、愛が生まれて小さな人間になる。
僕は、人間になってみたい。

山向こうでもお祭りが始まったらしい。
楽しい、楽しい、人間はお祭りが好きだ。

ドンドンドンドン、ダンダンダンダン
太鼓の音に心が躍る。

僕は、
ああ、僕は、
僕は、人間が好きだ!

僕は、もっともっと人間に近い所にいるカミになろうと思った。

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