惨め
まともになりたかった。
普通になりたかった。
みんなの当たり前のルートを通りたかった。
小中高普通に卒業して、大学行って、就職して。
恋愛とか人生のサブストーリー的なのは置いといて、大まかな道筋はみんなと同じルートが良かった。
小学6年生の3月に親が離婚して、家庭はめちゃくちゃ。家族のサンドバッグになりながら生きてたら体調崩して、入学早々中学校を休み始めた。
そしたらサボりだのなんだの言われて無視されて、陰口のオンパレード。先生もろくに話聞いてくれないし。
今でも忘れない。夏休み前に相談したら
「もう夏休みに入るから対応できない」って言われたこと。私バカだから信じちゃった。
そのまま3年間不登校のまま、ところてんのように押し出される形で卒業。
行きたかった高校は内申点が足りなくて諦めて、別の私立に入った。制服は可愛かったけどそこでも女子に嫌がらせをされて不登校。
3年に上がるタイミングで通信制に転校した。
今年20歳になるのに、まだ卒業出来ていない。
本当は大学に行って、司書教諭になりたかったのだが、父親にボロカスに言われて否定されたから諦めた。
母は応援してくれるみたいだけど、私はもういいや、と思っている。
バイトを始めるも、うつ病が原因でシフトに入れなかったり当欠したりで辞めることが多く、ろくに働けていない。
このままでは就職も危ない。ていうか、私がきちんと他の人と同じように仕事できるとは到底思えない。
あー、もう死なせてくれよ。頼むよ。
なんでこんな思いをしながら、迷惑をかけていると思いながら、申し訳なさと惨めさを感じながら、ずるずる生きていかねばならないのだ。
同じクラスで私のことを散々嫌ってきていた女たちは楽しく暮らしているのだろう。小3の私に手を出して性暴力をふるった2個上のいとこも、彼女と結婚するかもしれないらしい。
なんで私だけこんなに悩んでいるんだ。
なんでみんなのうのうと生きているんだ。
なんで、許されてるんだ。
体育祭が怖くて行きたくないと朝から泣く私に、母が言った。
「こんなことで泣かないでよ」と。
泣く度に頭の中でこの言葉がグルグルと回り出す。
今悩んでることもきっと《こんなこと》なのであって、みんなから見たら私は水たまりに顔をつけて溺れる!死ぬ!助けて!と喚いている馬鹿なのであろう。
そう思ったら、ますます自分が惨めで死にたくなってきた。
賢い人が言っていた。
誰も助けてはくれないんだから、自分で助かるしかないらしい。
その自分が川に流れてる藻のかけら並に弱々しく、頼りない場合はどうしたらいいんだろう。
《こんなこと》で悩み続けて死にたくなっている私を、誰かが助けてくれるとは到底思えないし、自分で助けることができるとも到底思えない。
まともに、普通に生きている人には分からない苦しみがあなたには理解できるんだよ。素晴らしいことだよ。と言われたのを今思い出した。
こんなクソみたいな苦しみ、味わいたくなんてなかったよバーーーーカ。
苦しみを理解してあげられる素晴らしい人になんて勝手に昇華しないでくれ。
できることならこんな惨めな気持ちも死にたいという気持ちも1ミリも理解できない人生を歩みたかった。
まともに、なりたかった。ただ、それだけ。