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似合わない、可愛くないの呪いについて
私の家族は、弟を除いて全員私の容姿にとても厳しかった。(ちなみに、弟にはこうならないで欲しいから、容姿に対してあれこれ言わないことや、これ可愛い?と聞かれた時の答え方などをたくさん仕込んだ。)
「似合わない」「可愛くない」「変」「太ってる」
こういう言葉を容赦なく浴びせられた。
私は心底傷ついたし、なんの洋服も似合わないと思ったので、クローゼットの中には黒のスウェットしかないレベルで買う服が偏ったし、好きな服を着たい!と思わなくなった。
どうせ似合わないと思っていたからだ。
でも、転機が訪れた。
通販アプリのSHEINが流行りだしたのだ。
そこには私が大好きな骸骨とか十字架があしらわれたゴシックなお洋服や、サイケデリックなデザインのお洋服など、山のようにあった。
スポーティーなデザインもあれば、ガーリーなお洋服もある。
私は一気に開放された気持ちになった。
バイトを始めた時期だったし、お金はある。
ただ、やっぱり呪いが強く大きく育っていたため服を買うに至るまでかなり時間がかかった。
そうしてようやく1着買った。
その日を境に私は自分の好きなお洋服の系統を見つけ、似合うお洋服の形やシルエットを研究し、自分自身の体型なども加味してSHEINで探しまくるようになった。
田舎育ちで家から車で20分くらいのところにあるしまむらか、40分かかるHoneysか、、みたいな選択肢しかなかったし今後もそうだと思っていた私には、夢のような出来事だった。
何度かお買い物をし、慣れてきたところで、ついに私は最大の呪いを解いた。
フリルやリボン、レースのついたゴスロリを着たい。
そのかねてよりの願いを叶えたのだ。
先述した通り、死ぬほど田舎に住んでいるためどう考えてもこの格好で外を歩いたら浮くし、この格好を変わってると感じる友人に会う確率が高すぎる。
それでも私は私を貫き通したいし、これが私の 《好き》 であると全人類に知らしめたい。
そう思ったら注文して入金していた。
1週間くらいで届いた。
インターホンがなり、雑に梱包された大きな袋を受け取る。
そして開封。
それはそれはドキドキした。
一つ一つの袋を開ける度に、私は今からずっと着たかった憧れのお洋服を着るんだ、と思ったら、胸が高鳴って仕方ない。
ネイルチップなども頼んでいたが、それらを開封するより先にゴスロリ系のワンピースとボレロのようなトップス、コルセットベルト、フリフリのカチューシャを持って脱衣所へ向かった。
適当なスウェットを脱ぐ。
ワンピースに袖を通す。
わ、と声が出た。
あの家族には絶対に変だと言われるし、それは外に着て出るなと言われるお洋服を、今、私は着ている。
可愛い……!可愛い!可愛い!!!
クロップド丈のフリルのついたトップスを上から重ね、コルセットベルトを着け、カチューシャを着け、髪を整える。
これだ。
私がなりたかった私。
否定されることなく、《好き》を貫いた私。
勝った。
ハッと思い立ち、写真を撮る。
普段自分の写真なんてほとんど撮らないけど、内カメラに映る私がいつもより少し可愛くて泣きそうになった。
シワにならないようにハンガーにかけて、クローゼットにしまう。
黒のスウェット、パーカー、ダウンコートに並んで、フリフリのワンピースがある。
私のクローゼットには一生入ることはないと思っていたお洋服。
私には似合わないと思っていたお洋服。
それが、手元にあるのだ。
間違いなくこれから私は生きていけると思った。
絶対にこれからは自分の思う《可愛い》と《好き》を守ってあげたい。
どんなに系統が変わっても、その信念だけは揺るがないようにしたい。
そう思った1月26日。
この日を、私の可愛い記念日としよう。