ミルグラム効果
今日はちょっと真面目な話。
.
.
.
アメリカ、イェール大学の心理学者、スタンリー・ミルグラムは1963年にアメリカの社会心理学会誌「ジャーナル オブ アブノーマル アンド ソーシャル サイコロジー」に、「権威者の指示に従う人間の心理状況」を実験した内容を投稿。
後にこの心理効果は「ミルグラム効果」と呼ばれる。
.
.
.
東欧地域の数百万人に及ぶユダヤ人を絶滅収容所に輸送する責任者であった「アドルフ・アイヒマン」は、ドイツ敗戦後、南米アルゼンチンに逃亡して「リカルド・クレメント」と偽名を名乗り、自動車工場の主任としてひっそり暮らしていた。
彼を追跡するイスラエルの諜報機関は、クレメントが大物戦犯のアイヒマンであると判断した。
.
それは何故か。
.
クレメントが妻との結婚記念日に花屋で花束を購入しており、その日付がアイヒマン夫婦の結婚記念日と一致していたのだ。
(そんな奴山ほど居るだろ。)
.
イスラエルにおけるアイヒマン裁判の過程で描き出されたアイヒマンの人間像は、人格異常者などでは一切なく、真摯に職務に励む平凡で小心な公務員だったという。
この事から一つの疑問が生まれる。
「アイヒマンをはじめ、多くの戦争犯罪を実行したナチス戦犯たちは、そもそも特殊な人物(人格異常者)であったのか。それとも、妻との結婚記念日に花束を贈るような平凡な愛情を持つ普通の市民だったのか」
というモノだ。
.
つまり
「平凡な愛情を持つ普通の市民であっても、一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行ってしまう」
という事になる。
.
その証明を行う実験は、アイヒマン裁判(1961年)の翌年に実施された。
俗に言う「アイヒマン実験」である。
.
.
.
そして、実験の結果「普通の平凡な市民が一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行う」という事を証明した。
この心理効果を「ミルグラム効果」と呼ぶ。
.
「ミルグラム効果」
閉鎖的な状況では、権威者の指示に従ってしまうという心理効果。
それが模範的な人間でも。それが非人道的な指示でも。
.
.
.
.
.
.
怖っ!
.
めっちゃ怖いし、めっちゃ分かる話です。
ちなみに実験はごく最近まで行われており、ネットで調べて頂くと恐ろしい実験が沢山出てきます。
興味のある方はそちらも調べてみて下さい。
.
これは小さい会社やグループ、コミュニティでは常にある事で、とても身近な心理効果です。
冷静に考えるとあり得ない話でも、その場の雰囲気や空気で罪を犯してしまう、犯罪に加担してしまう。
往々にしてあり得る話なのです。
.
「あれ、これ本当に大丈夫なのか?」と少しでも疑問に感じる事があれば、その後でも構わないので、必ず立ち返って考える時間を作るべきです。
僕の記事ではもう200回ぐらい言ってますが、「常識」とか「正義」ってのは見てる方向や角度、立場、空間、時間、時代、1点でも、1ミリでも変わると、価値観がひっくり変えります。
知識を持って疑う事がいかに重要か、というお話でした。
.
.
.
怖い話やで。
サポートして頂いた方の事は一生忘れません。 靴ぐらいなら喜んで舐めます。