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バームの原料 蜜蝋とは?



①蜜蝋とは?

蜜蝋(みつろう、Beeswax)はミツバチ(働きバチ)の巣を構成する蝋を精製したものをいう。蝋は働きバチの蝋分泌腺から分泌され、当初は透明であるが、巣を構成し、巣が使用されるにつれて花粉、プロポリス、幼虫の繭、さらには排泄物などが付着していく。

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市販される蜜蝋はセイヨウミツバチのものが多いよう

Image by David Hablützel from Pixabay


②作り方は?

精製の方法には太陽熱を利用する陽熱法と、加熱圧搾法とがあり、効率の点では加熱圧搾法のほうが優れている。

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蜜蝋は太陽熱や加熱圧搾といった、有機溶媒に頼らない方法で抽出可能。ミツバチが集めてくる巣の原料が汚染されていない限り、オーガニック度が高いと思う。

蜜蝋を作る動画が載ったサイト


③用途は?

食品としての用途

花粉由来ビタミン類、鉄分およびカルシウムなどミネラル類、蜜蝋本来の脂溶性ビタミン類といった栄養成分が含まれているため、現在では食用に巣のままの状態で健康食品としてコムハニーという名目で販売されているほか、カヌレガムなどの洋菓子にも使用される。

かつて欧州ではバターが量産普及する以前ではバター同様に調理用油脂として用いられた。

また古くから中世にかけて蜂蜜の精製方法が普及されていない時期は欧州や中東地域、中国周辺地域、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸では蜂蜜と巣を共に摂取するという形で蜜蝋は常食されてきた。特に欧州では蜜蝋のままでもカロリーが高い飢救食物としても利用された。

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スキンケア用途

蜜蝋は様々な皮膚病(蜂巣炎、傷、アトピー性皮膚炎、乾癬、カンジダ・アルビカンスによるおむつかぶれなど)の治療に使用される軟膏、リンメント、クリームに添加されてきた。

蜂蝋は口紅、スティック、クリームの基材として使用され、肌の弾力性、可塑性を提供し、肌の粘着性を高める。また、潤滑剤と軟化剤としての機能があり、皮膚からの経皮水分損失を減少させる。これらは、細胞隙間の成分であるステロールによる特性である。

蜜蝋に含まれるスクワレン、10-ヒドロキシトランス-2-デセノ酸、フラボノイド(クリシン)は、抗菌特性があり、皮膚を病原体微生物から保護する。また、皮膚表面に膜を形成することで、多くの外部要因に対する保護バリアとなる。

蜜蝋に含まれるβ-カロテンは、ビタミンAの貴重な供給源だが、ビタミンAはコラーゲンの分解を遅らせ、表皮の有糸分裂を刺激し、損傷後の皮膚の再生を早める。

Bee Products in Dermatology and Skin Care
Image by Pavlo from Pixabay


④ミツバチの重要性

セイヨウミツバチ Apis mellifera はハチミツやローヤルゼリーをはじめとしたミツバチ産物の生産だけでなく、作物の花粉交配のための花粉媒介者(ポリネーター)として不可欠な昆虫である。現代養蜂においては、特に食糧生産におけるミツバチのポリネーターとしての役割が重要性を増している。ミツバチのもつ経済的価値は年間約 2,120億米ドル、日本円にして約20兆円と試算され、全世界の農業生産物における総価値の9.5%を占めるまでにいたっている(Gallai et al., 2009)。

世界におけるミツバチ減少の現状と欧米における要因

果物や野菜、コーヒーやお茶 など多くの農作物は花粉交配にポリネーターが 必要であり、ある試算では、世界食糧生産の約35%は昆虫をはじめとしたポリネーターに依存するとされている。さらに、そのうちの90%は家畜であるセイヨウミツバチによって賄われている (Delaplane and Mayer, 2000)。

世界におけるミツバチ減少の現状と欧米における要因

はちみつ、花粉、ローヤルゼリー、蜂蝋など有用な物質を得て、作物や植物の受粉も行える


⑤近年の養蜂の問題

飼っているミツバチが急にいなくなる、蜂群崩壊症候群が知られる。ネオニコチノイド系農薬の影響が有力視される。

飼育されているミツバチが突然、大量に姿を消す現象巣箱には孵ふ化かした幼虫食料が残され、女王バチ羽化直後の働きバチがわずかに残っている場合が多い。巣箱の周囲では死骸は発見されない。2006年に米国で問題化し、欧州などでも同様の事例が報告されているが、原因は解明されていない。日本でも同時期に養蜂場でミツバチが大量死する事例が相次いで発生しているが、巣箱の周辺でミツバチの死骸が発見され、死亡が確認されていることから、蜂群崩壊症候群とは異なる現象と考えられる。日本での大量死の原因として、ミツバチに寄生するダニネオニコチノイド系殺虫剤の影響が有力視されている。

蜂群崩壊症候群


⑥ネオニコチノイド系農薬の養蜂への影響

ダニの居ないマウイ島での農薬の蜂群への影響

ネオニコチン系農薬を投与したコロニーは100%滅亡
無農薬群、有機リン系農薬投与群は33%が滅亡

農薬のミツバチへの影響―⻑期野外実験結果―


⑦日本はネオニコチノイド系農薬の規制が緩い

ネオニコチノイド系農薬のひとつであるジノテフランは、EUでは 1 ㎏あたり 0.01 ㎎ が基準値として設定されていますが、日本では 25 ㎎となっており、2500 倍もの量の使用が認められています。そのほかイミダクロプリドは 200 倍、アセタミプリドは 600 倍の量の使用が容認されているのです。

週刊現代 2021 年 6 月 5 日号「日本茶は農薬まみれ それでも飲みますか?」に関する農薬工業会の見解
Image by Hans Benn from Pixabay


⑧感想

養蜂への影響が有力視されているにも関わらず、農薬量を制限しない政府の尻を拭う形で、養蜂家が苦しんでいると思います。ミツバチが居なくなって困るのは人間です。自分は、蜜蝋を買って養蜂家の生活の足しにしてもらうくらいしか出来ないので、蜜蝋を使ってバームを作ろうと思います。


⑨蜜蝋を用いたCBDバーム

蜜蝋を用いて、CBDバームを開発しました。

その他CBDバームに含まれる原料の効能は、以下のマガジンをご覧ください


参考文献
Bee Products in Dermatology and Skin Care
世界におけるミツバチ減少の現状と欧米における要因
農薬のミツバチへの影響―⻑期野外実験結果―
週刊現代 2021 年 6 月 5 日号「日本茶は農薬まみれ それでも飲みますか?」に関する農薬工業会の見解


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