卵とコレステロールとうさぎ
大学受験を控えた爽やか男子が
分子栄養学の検査を受けられた。
理由は、
貧血が原因ではないかと思われる
ちょっと心配な症状があったから。
その男子のお母さんとそのまたお母さんに
貧血があることがわかっていて、
さらに、
部活が運動部だったこともあって、
男子といえども貧血があっても
不思議ではなかったの。
70項目に及ぶ検査の分析の結果、
その心配な症状の原因は貧血ではないことが
わかったの。
でも、
日々のお食事の申告内容と、
血液検査の尿素窒素などの結果を合わせ見て、
タンパク質が
必要な量の半分以下しか
摂れていないことがわかった。
そう、
タンパク不足。
そこで、
栄養療法の栄養素(サプリメント)で
効率よく栄養状態を底上げしつつ、
同時に、
食事でもタンパク質の量を増やしましょう
とのアドバイス。
例えば、
卵をお食事にもっと活用しましょう、と。
その男子は、
アドバイスをしっかりと
自分ごととして受け止め、
疑問に思ったことを質問してくれたの。
「卵は一日にいくつまで食べていいですか?」
10代の男子から
この質問が出てくるなんて!!
《卵は一日に一個まで》神話が
この世代にも伝わってるなんて!!
そんな神話に私がなりたいよ(笑)
まずね、
《卵は一日に一個まで》神話は
コレステロールと関係があるらしい、
ってことは、
なんとなく知られていると思う。
卵をそれ以上食べると
コレステロールが上がってしまうから
よくないよ、って。
どうしてそういう話になったかというと、
こんな経緯があったの。
卵とコレステロールの研究
今から100年以上前(!!)のこと。
ロシアで発表された研究結果に端を発します。
うさぎに卵を食べさせたら
血中のコレステロールが跳ね上がり、
数週間のうちに血管壁に脂肪が沈着し、
それが動脈硬化を起こすことがわかった、
というもの。
(研究者の名誉のために書き添えておくと、
この研究者はその後も引き続き
いろんな視点から研究を行い、
それが他の研究者を啓発し、
現在のたくさんの発見の元になっている!)
この研究で
わかりやすくて
センセーショナルなことだけが取り上げられ、
卵を食べると
コレステロールが上がるからよくない
ということだけがひとの記憶に残り、
人から人へ、
親から子へ、
語り継がれていったらしい。
私もそう語り継がれた一人!!
もちろん、
私の母は、
私を守るためにそう教えてくれたの。
卵は素晴らしい完全食品だけど、
一日に一個でいい。
それ以上はだめ。
だから、
朝ごはんに卵を食べたら、
お弁当には卵は入れてもらえなかった。
お友達のお弁当に入っている
甘い黄色い卵焼きが
羨ましかったなぁ・・・。
その思い出があって、
我が子のお弁当には
甘い卵焼きを入れていたら、
甘くない出汁の卵焼きのほうが好き
と言われてショックだった私。
ところが、
この研究には問題があったのよ。
それは、
うさぎが研究に使われていたこと。
どうしてうさぎを使ったことが問題なの?
うさぎは何を食べる?
そう、草だよね。
人参好きなイメージがあるけど(なぜだ?)、
あくまで草だそう。
間違っても、
野生のうさぎは卵を食べることはない。
つまり、
うさぎが動物性の食品を摂ることは
ないということ。
ということは、
うさぎのからだは
動物性のものを
消化・吸収・代謝できないということ。
それで、
食べた卵のコレステロールが
そのまま血中に出てしまったと
いうことらしい。
ひとが卵を食べたからと言って、
コレステロール値が跳ね上がることは
普通はない。
卵はひとにとってどういう食べ物?
卵は確かに
コレステロールが豊富な食べ物
ではあるけど、
ひとの体では、
食べ物から得るコレステロールの
何倍ものコレステロールを
自分の肝臓などで作っている。
それは、
コレステロールが
体にとって大事で必要なものだから。
そして、
卵はコレステロールだけの食品では
ないのよ。
とっても優秀なタンパク食品なの。
1個の卵から
6gくらいのタンパク質を摂れるの。
え、それだけ
って思うかもしれないけど、
100gものお肉やお魚から
摂れるタンパク質は、
吸収がよくてせいぜい8g。
体重50kgのひとが
現在のからだを保つのに
必要なタンパクは55g!
こんなに必要なわけだから、
たんぱく食品はほんとに大事!
卵には、
ビタミンAやB、D、Eなどもあるし、
鉄などのミネラルもある。
無いのは
ビタミンCと繊維質だけだと
言われているくらい。
卵はうまく取り入れて
元気でいてほしい♡
例えば、
お昼ご飯ってつい
麺類とかになりがちでしょ。
それって炭水化物なわけ。
エネルギー源ではあるけど、
からだを作る栄養が足りない。
だから、
そこに卵焼きを追加してもいいし、
生卵を割り入れてもいいし。
温泉卵を作り置きしておくのもいいよん。
いくつ食べていいの?
究極、知りたいのはここだと思うけど、
でも、
一概には言えない。
一般的には
タンパク質が足りてる人って少ないと思うから、
たくさん食べてって言いたいところだけど。
そうは言っても、
ひとのからだは本当にそれぞれで違うから、
コレステロール値が心配になっちゃう人も
いらっしゃると思う。
遺伝的に
コレステロール値が高くなりやすい人も
いらっしゃるし、
ご家族に動脈硬化や心疾患があったから心配
という場合もあると思うのね。
そういう時は、
分子栄養学の血液検査を役立ててみて。
コレステロールの値は
低ければいいというものではないことは
市民権を得つつあるけど、
HDLやLDLとのバランスが大事だし、
LDL=悪者ではない。
注意するのは酸化LDLだったりする。
そんなこんながわかれば、
対処方法がわかるからいろいろ安心。
そうそう、
コレステロールは
更年期世代の女性には大切なもの
でもあるのよ。
女性ホルモンの材料になるからね。
悪者じゃないの、必ずしも。
何が足りていて、
何が多すぎて、
何が足りないか、
あなたの血液が教えてくれる。
血液データを、
自分のからだの状態を客観的に知って
元気でいるための指標に使って♡
そして、
あなたがやりたいことを
思いっきりやって。
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