10年を超える有期雇用を認めない「10年ルール」
研究者については死活問題ですね。
「10年ルール」の問題点
「10年ルール」とは、改正労働契約法に基づく規定で、有期雇用が通算10年を超えた場合、労働者は無期雇用への転換を求めることができるというルールです。これは、長期間にわたる有期雇用の安定性を保障するための法律であり、雇用者はこの求めを無視することができません。
しかし、この法律が施行されて以降、多くの組織、特に研究機関や大学などでは、無期雇用への転換を避けるために、研究者の契約を通算10年ちょうどで打ち切るケースが増えています。これは、人件費削減や組織の柔軟性維持などの理由から来るものです。
つまり、'10年ルール'とは、長期的に安定した雇用を保証するための法律ですが、それを避けるために、実際には研究者などが10年で雇用を打ち切られる結果を生んでいるという状況が生じています。
その結果、多くの研究者や技術者が契約更新の時期になって雇い止めにあい、その職を失ってしまうという事態が生じているのです。これは、研究者や教育者などの専門職にとっては深刻な問題であり、その人たちのキャリアや研究活動、さらには日本の科学技術全体に影響を及ぼす可能性があります。
日本の将来はどうなるのか?
理化学研究所(RIKEN)は日本を代表する研究機関で、物質科学、生命科学、環境科学、情報科学等、多様な学問領域を包括しています。RIKENの研究成果は世界中で高く評価され、学術的影響力が大きいことで知られています。
しかし、新たな「10年ルール」の影響を受けて、現在RIKENでは難しい状況に直面しています。このルールにより、有期雇用が通算10年を超えた研究者が無期雇用への転換を求めることができるようになりました。これは労働者の権利保護を目指すものですが、経済的な制約や組織の運営上の問題から、RIKENでは通算10年を超える直前に契約を打ち切られる研究者が多数出る事態が生じています。こうした中で、RIKENでは一部の研究者や技術職員が雇い止めとなり、職を失ったという報告が出ています。
さらに深刻なのは、この問題がRIKENだけでなく、他の大学や研究機関でも起こっている可能性があるということです。これは、有期雇用の研究者や教員が多い日本の学術界全体にとって大きな課題となっています。
この状況は、研究者のキャリアパスや研究の継続性を大きく揺るがせる可能性があります。また、研究者が職を失うことで、個々の研究だけでなく、日本の科学技術全体が受ける影響も懸念されます。そのため、今後の方向性や対策が求められています。
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