アトランタ都心の道路による分断を回復させるプロジェクト「ザ・スティッチ」
case | 事例
アトランタ市では1940年代から1950年代にかけて建設された州間高速道路によって、ダウンタウンにあるいくつかのコミュニティが移転させられ、残された地域は断絶された状態になっている。「ザ・スティッチ」(Stitch: 縫い合わせる)と呼ばれる大規模開発プロジェクトは、ダウンタウンにある高速道約4分の3マイル(約1.2km)の区間上のスペースに「キャップ」を設置し、分断されたコミュニティを再接続することを目的に実施される。機能的には、公園、広場、歩行者道路など、14エーカー(約4.7ha)の緑地で道路の両側をつなぐものである。
この7億1,300万ドル(約1,055億円)のプロジェクトはまだ初期の計画段階であるが、コンサルタントとアトランタ・ダウンタウン・インプルーブメント・ディストリクトの幅広いチームによって主導され、市、州、連邦政府による1,500万ドル(約22億円)の資金提供は約束されている。今後の計画の詳細化に沿って、資金調達のために寄付や税金の配分を検討する予定になっている。2024年に最終的にマスタープランを完成させ、第1段階は2030年半ばまでに、第2段階は2033年半ばまでに、そして最終段階は2036年末までに段階的にオープンする予定である。
11月15日に開催されたコミュニティ・ワークショップでは、住民により計画の最初のステップについて直接意見交換が進められた。ミーティングでは、ザ・スティッチについて、アフォーダブル住宅、複合施設、再接続された道路網、仕事や行き先への簡便なアクセス、コミュニティに焦点を当て、公園、持続可能性、多様なコミュニティなど、さまざまな目標分野について議論した。プロジェクトの設計者たちは、ザ・スティッチが社会的、経済的、生態学的にプロジェクトの範囲を超えて波及効果をもたらし、アトランタの都心の再活性化を願っている。
insight | 知見
Google Mapでアトランタの都心を見ると、確かに高速道路で分断されているのがよくわかります。福岡市でも、海が都心に近いのに都市高速が都心と海の距離を作っている、というような話をよく聞きますし、高速でなくとも、もともと連続したまちだったのが、幹線道路によって両側に分断されたエリアは身近にたくさんあります。
記事のアトランタの取り組みはかなり大掛かりですが、分断された地域をつなげるのは、ザ・スティッチが試みようとしている公園、広場、歩行者が歩きやすい通路、緑地などの公共空間作りであることは、どのようなケースにでも当てはまると思います。