ロンドン市長がオックスフォードストリートの歩行者専用化計画を発表
case|事例
ロンドンのサディク・カーン市長がオックスフォードストリートの歩行者専用化の計画の提案を行った。ロンドンの目抜き通りを世界で有数の商業の目的地とすることを目的としている。オックスフォードストリートは、オンラインショッピングの台頭や主要デパートの閉店、長引くCOVID-19の影響などから沿道の商業が苦境に立たされており再生の必要性を市長も訴えている。
オックスフォードストリートの苦境は、APPLEなどが立地するリージェントストリートとの比較でより浮き彫りになる。オックスフォードストリートは主要テナントの撤退などで2022年半ばに空室率が13%に達していた。2024年6月には4%まで回復したが、かつての活気はまだ取り戻せていない。オックスフォードストリートの再生は、新たな雇用の創出や経済活動の活性化、ナイトタイムエコノミーの復活などにつながると期待されている。今後、プロジェクトの推進のため、計画権限を持つ新たな開発公社の設立も予定されている。
カーン市長は長年にわたって歩行者専用化に向けた取り組みを行ってきているが、道路交通や公共交通の混乱、障害者アクセスへの懸念などから反対に直面していた。しかし、7月の総選挙で労働党が勝利したことで潮目が変わり、市長の計画が加速された。これまで計画に判定してきたウェストミンスター議会も市長と建設的に取り組むと協力姿勢を示している。ウェストミンスター議会では、双方向通行を維持しながらも歩道を拡幅し舗装をやりかえるための9,000万ポンド(約170億円)の計画についてすでに地元と協議を始めている。その計画では資金の一部を地元地権者が負担するとしている。
https://www.ft.com/content/d4324f4f-3c39-480e-b300-6f7f06977699
insight|知見
ロンドンの目抜き通りであるオックスフォードストリートが歩行者専用化されるとロンドン都心部の風景もずいぶん変わりそうですね。
このような大胆な都心改変ができるのは、低炭素や社会包摂、ウェルビーイングなどの方向性をもったビジョンを描き、優先順位をもって公共交通を優先し、自動車を抑制するという明確な意思決定をしたためだろうと思います。
福岡市の渡辺通りなどでも同様の動きが出てきてほしいなと思いますが、まずは官民ともに八方美人で日和見主義的な計画からまずは抜け出さないといけませんね。