メルボルン市は電動キックボードのシェアサービスを廃止
case|事例
メルボルン市は、安全面の理由から電動キックボードのシェアサービスを禁止することを決定した。2022年に電動キックボードのシェアサービスを導入以降、人気が高まり、利用は着実に増えている一方で、歩道走行や二人乗り、ヘルメットを着用しない利用、飲酒運転など違反利用が後を絶たず、市民から不満が寄せられていた。
メルボルン市は、2022年にビクトリア州政府の実証スキームに参加し、Newron社とLime社と協働で2年にわたって事業を運営してきた。この間、サービスを提供する2社はAIカメラによる取り締まりなど安全性の改善を行ってきたが、効果は乏しかった。
ビクトリア州政府は、2024年7月に実証スキームを恒常化し、シェア事業の運営を継続するかどうかの決定権限を各市町村議会に移譲している。これを受けてメルボルン市は事業を廃止する決定を行った。メルボルン市と事業者との取り決めでは、メルボルン市は5日前までに通知を行うことで、協定から脱退することができ、その場合、事業者は30日以内に事業を停止しなければならないこととなっていた。事業者はメルボルン市内での事業を2024年9月18日までに停止する予定。
insight|知見
パリなどに続いてメルボルンでも安全上の理由で電動キックボードのシェアサービスを禁止する決定が下されたようです。メルボルンが先進技術を用いて電動キックボードの安全利用を促しているということは本コラムでも取り上げましたが、十分な効果を得るには至らなかったようです。
短距離の自動車移動の代替手段として徒歩や自転車の魅力を高めることは、運輸部門の排出量削減を行うにあたって重要度の高い政策課題だともいますが、移動の選択肢を増やし、移動に伴う身体的な負担を和らげるという意味では電動キックボードの持つ意味も大きいと思います。
電動キックボードを都市へ適切にインストールするためには、技術による安全確保以外に利用ルールやマナーの徹底をする必要がありそうです。