アメリカでは走行距離に応じた通行料徴収への支持が高まっている
case|事例
ミネタ交通研究所(MTI)は、連邦政府の交通財源政策に関するレポートを公開した。レポートでは、全米から抽出された2,522人を対象とする意向調査が実施されており、現在のガソリン税を排出量ベースの走行距離に応じた通行料としての徴収に置き換えることが51%の支持を集めた。また64%は低所得者に対する料金の引き下げについて好意的に評価している。他にも事業者向けの通行料徴収への賛否も問われており、車種やサービス別に割合が異なるが、貨物トラックで58%、タクシーおよびライドヘイリングで53%とそれぞれ過半の支持を集めている。一方で定額での徴収は最も支持が低く39%の賛意しか集められていない。
MTIのレポートは15年間毎年発行されており、15年間の民意の変化も確認することができる。走行距離に応じた通行料の徴収は確実に毎年支持が高まっている。
また世帯単位での移動実態からは、未だに自動車が主流の移動手段であることには変わりないが、大多数の世帯で移動手段を使い分けたり自動車と組み合わせたりして移動するマルチモーダルな実態が明らかになっている。過去30日間で利用した交通手段の質問に対して、対象世帯のうち、48%が徒歩を、23%がタクシーおよびライドヘイリングを、21%が公共交通を、15%が自転車を、4%がマイクロモビリティを利用していた。
insight|知見
15年にわたる意向調査は政策の立案などにとても有効なデータや示唆を提供してくれるように思います。日本にもモニター調査や市民意向調査を定期的に実施している自治体があると思いますが、住みやすいかどうかなどの定性的な主観的な意見を問うものが多いように思います。MTIが民間のシンクタンクだからこそできるのかもしれませんが、もう少し政策への賛否や意向を問えるような設問にすることで、政策に市民の意見を反映しやすくなるのではないかと思います。