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若い労働者階級はクリエイティブ産業から締め出されている
case|事例
英国のSutton Trustは、最新の研究レポートで、クリエイティブ産業やクリエイティブな教育の機会は、労働者階級に対して閉ざされており、それらの機会の享受は中流階級の上位クラスでほぼ占められていることを明らかにし、平等で公平な機会の提供を求めている。
レポートでは、クリエイティブ産業が依然としてエリート主義で、労働者階級の若者は参入しにくく、才能ある労働者階級の子どもたちの機会を奪っている現状をあぶりだしている。その傾向は、特に芸術分野で顕著にあらわれている。英国で教育を受けた人のうち、私立学校に通った割合は7%であるのに対して、名の売れたクラシックミュージシャンのうち43%、英国アカデミー賞にノミネートされた俳優の35%が私立学校の出身者だった。さらに、クラシックミュージシャンの58%が芸術専門の大学もしくは音楽院を卒業しており、4人に1人は王立音楽アカデミーの出身だった。
以上から、芸術分野においては世帯の所得水準による格差が明らかであり、クリエイティブな高等教育やクリエイティブ産業での労働に明確な階級格差がある。音楽や芸術などクリエイティブ分野の学位取得についても、オックスフォード大学やケンブリッジ大学、キングス・カレッジ・ロンドンなどのような権威ある教育機関ではより学位取得者の所得水準に偏りがあり、学位取得者の50%以上が中流階級の上位層であった。
Sutton Trustは、社会的な流動性を確保し、所得水準によらず公平な職業や教育の選択ができる環境をつくることが重要だと主張している。レポートでは、学校が音楽レッスンなどの教育機会を与えることを可能にするために「芸術プレミアム」を導入することや公的補助を受けている音楽学校や芸術機関がオーディションに課金することを禁止することなどを提言している。