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サウンド・インスタレーションが騒音公害を軽減する可能性
case | 事例
騒音による公害は「新しい受動喫煙」とも呼ばれ、単なる不快感から難聴や高血圧などの深刻な健康問題や精神疾患の悪化まで、さまざまな影響を及ぼす可能性があるとされている。カナダのマギル大学情報学部の教授によると「低コストで小規模かつ一時的な介入策としてサウンド・インスタレーションを都市計画のツールに加えることで、公共空間の改善につながる可能性がある」と語り、今般論文が公開された。
研究チームはモントリオール市と協力し、都市の喧騒の中で、サウンドインスタレーションが市民と公共空間との関係を強化するためにどのように活用できるかを研究した。研究は地元のサウンドアーティスト集団であるAudiotopieと協力し、2018年から2019年にかけ、モントリオール市の高密度な市街地プラトー・モン・ロワイヤルにある小さな公園で、異なる時期に4つのサウンドインスタレーションを再生した。インスタレーションでは、さまざまなサウンドで組み合わされ、森林や海を想起させるものや、人間の声やシンセサイザーを使うものもあった。その後、研究者は公園利用者800人を対象にアンケート調査を実施した。その結果、4つのサウンドインスタレーションとも存在することにより、公園利用者の体験が向上し、より静かで心地よいサウンドスケープが実現することが示された。また、都市の騒音が以前より小さくなったという回答者もいた。
この研究により、都市に建設工事の騒音などがある場合、サウンドインスタレーションが特に強くポジティブな効果をもたらすことが明らかになった。また、サウンド・インスタレーションは、交通や空調などのネガティブな音から注意をそらすことができる一方で、鳥のさえずりや人の話し声などのポジティブな音からも注意をそらすことが分かった。 研究グループは、都市計画に音を組み込むことの重要性を認識してもらうための活動も行っている。
insight | 知見
実際のサウンド・インスタレーションの動画も記事にリンクされていますが、サウンドを注意して聞こうとすると、確かに他の音が気にならなくなります。
都心の再開発工事中のエリアでは、音楽などの音量を上げて騒音をかき消そうとするのではなく、ちょっと気になるようなサウンドを流すほうが人々が過ごしやすくなるのかもしれませんね。