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シドニーの新しい地下鉄駅に込められたアート・ビジョン

case | 事例

シドニーの新しいメトロ駅は、地域コミュニティの豊かな芸術資産を用いた公共芸術作品で彩られている。シドニーの2050年マスタープランでは、シドニーオリンピックパークを都市の主要なグリーンハブに変えることを目指している。この大規模な都市再生プロジェクトは、シドニーメトロのウェスタンシドニー空港線の開発を含む都市交通ネットワークの拡張によって支えられている。

新たに開業した8つの駅は、チャッツウッドからサイデナムまでを結び、地域コミュニティと連携した公共芸術作品が展示されている。例えば、マーティンプレイス駅では、シドニー出身のアーティスト、ミカラ・ドワイヤーの「コンティニューム」と「シェルター・オブ・ホロウズ」、ダグラス・アナンドの「フォー・コンチネンツ」などの作品が展示されている。また、ガディガル語で「光の道」を意味する「ムル・ギリグ」という光と音のインスタレーションも設置されている。

セントラル駅では、ローズ・ノーランの「オール・アロングサイド・イーチ・アザー」という作品が展示されており、テラゾタイルの床が陸上トラックのように見える。ウォータールー駅では、アボリジニの少女の巨大な肖像画や、地域コミュニティの人々の足跡で構成された壁画が訪問者を迎える。これらの駅は、シドニーの革新とコミュニティ精神を象徴しており、訪れる人々にユニークで変化に富んだ体験も提供している。

insight | 知見

  • 2023年に福岡市営地下鉄が延伸開業した際にできた櫛田神社前駅構内には、博多の祭りや文化に関わる展示物が随所に設置されており、通過する駅というよりはゆっくり立ち止まって楽しめる作りになっています。

  • 駅に限らず都市の公共空間は、人々が気軽に滞留できて時間を過ごせるような思想で作られるようになってきていますが、その際に芸術作品や歴史文化の展示は重要な役割を果たすと思いますし、それこそが都市のソフトパワーなのではないかと思います。